海鼠の涙 ページ15
――起きろ。
と、叱咤してくる様な朝日。眩しい。
「…んぅー」
もぞりと布団に潜って
「御早う。善く眠れた?」
…修治さん?
嗚呼。昨日の出来事は全部悪い夢で、
修治さんは生きて居る。
何て、
此の世界は優しく無くて。
「殴られるか蹴られるか髪の毛毟られるか何れが善いですか?…太宰さん」
顔だけ出して海鼠から亀に成ると、其処には
「怖いなあ」と笑う太宰さん。
「説明をしに来ただけだよ。此処は社員寮。私は外に出ておくから、紙袋に入って居る服に着替えたら声を掛けて呉れ給え」
「社員寮って…『武装探偵社』の?」
「そ。服は女性社員が選んだものだよ。じゃァまた後程」
扉が閉まるのを眺めながら、昨日「うずまき」で聞いた内容を思い出す。
――異能力集団「武装探偵社」。
灰色の厄介事を引き受ける、薄暮の武装集団――
女性社員が選んだものだと云う
此の部屋を出たらもう敦さん、…太宰さんとは…
用意された髪留めを付け、ストッキング、ローファーを履く。
ドアノブを捻り、外へ――
「何してるんですか」
――出ると、珍妙な格好で手摺に掴まる太宰さんが居た。
「一寸飛び降り自 殺してみようかと思ったんだけど、外套のベルトが手摺に絡まってね…此の体制きついから、引っ張り上げて呉れる?」
自 殺も此処まで来ると滑稽の域に入る。
もう、本当に、此の人は――。笑いながら引っ張り上げる。
何だか涙が出そうだった。
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夕野きする(プロフ) - 響華さん» アドバイスいただきありがとうございます!わかりました、工夫してみます。 (2018年3月11日 21時) (レス) id: d7453fd818 (このIDを非表示/違反報告)
響華 - もう少し行の間隔を空けたらいかがでしょうか? (2017年12月18日 17時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
桃生このか - 秋さん» そうなんですね!お恥ずかしい話、未だ読んでいないのです…これは学校の図書室開き次第読まねば(笑) (2017年9月2日 23時) (レス) id: cc90327189 (このIDを非表示/違反報告)
秋 - ツケの話、ヴィヨンの妻のどこかにあったなぁ (2017年9月1日 21時) (レス) id: 45418c19fc (このIDを非表示/違反報告)
R - 確かにそうですね! (2017年8月27日 13時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:桃生このか | 作者ホームページ:http://http://commu.nosv.org/p/asubook/
作成日時:2017年8月19日 0時