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第3話 ページ3

*


教室では相変わらず私は
目立たないように隅の方にいて
中心にある神谷くんの席は
5人の男女に囲まれていた。


先日、神谷くんと二人きりで話せていたことが
まるで夢みたいで…。
いや、夢だったのかもしれない。



「A、どうかした?」

「ううん。なんでもないよ」



また話したいなんて思うのは贅沢なのかな。

それでも自分から声をかける勇気なんてないけれど。






お手洗いから戻る途中
購買に行っていたのか、手に袋を提げた神谷くんとふと目が合う。


反射的に小さく頭を下げて
教室のドアを開けようとすれば
背後から伸ばされた手によって阻止された。



「Aちゃん」

「はいっ…!?」

「ちょっといい?」



あれ?さっき、『Aちゃん』って…。

神谷くんのその声で呼ばれると
なんだかこそばゆくて
どんな顔をすればいいかわからなくなる。



どうにか平然さを装って
「どうしたの?」と首を傾げる私に
神谷くんは「いや…」と、少し口ごもる。


「…?」

「…俺が、つーよりAちゃんが
俺に何か話したいことでもあるんじゃねーの?」

「……え!なんでっ…」

「ん?だって、俺のことすげぇ見てただろ?」



ニヤリと口角を上げる神谷くんに
グワッと身体の熱が沸騰したように熱い。



「あんな熱視線送られたら気付くって」

「ごめんなさい…」

「ははっ!悪りぃ。熱視線っつーのは冗談」

「え"っ!?」

「本当素直だな」



そう言って、くくっと笑う神谷くんに
恥ずかしさでさらに顔が熱くなる。



「神谷くんって実は性格悪い…?」

「さあ?」




手を広げ肩をすくめて誤魔化す神谷くん。
その仕草がわざとらしくなくて憎めない。



「あの…」

「ん?」

「また、見に行ってもいいかな?…練習」



まだ火照りの冷めない顔を見られたくなくて
俯けたまま細々と尋ねる。



「なんで?許可なんて要らないだろ」

「そう、なんだけど…」

「それに俺はずっと待ってたんだけど」

「…えっ…?」



顔を上げれば、神谷くんは苦笑まじりに言う。



「なのにあれから1週間経っても全然来ねぇから
結構悩んでたんだぜ?」

「悩んでたって…?」

「Aちゃんは俺のこと、興味ねぇのかなって」



それって…。いや、まさか。



「えっと…」

「俺、Aちゃんのこと好きだからさ」



そのまさかだったわけで。



「俺と付き合ってほしいんだけど」



流れるような告白に



「うん」



私もまた気づけば頷いていた。

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設定タグ:ダイヤのA , 神谷カルロス俊樹   
作品ジャンル:恋愛
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もっちー(プロフ) - 続きが楽しみです!!更新待ってます🙌💖💖 (8月27日 2時) (レス) id: 28f73aa9c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し52551号(プロフ) - 続きが気になっています! (2021年1月5日 23時) (レス) id: 990a644328 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢(プロフ) - 何回も読み返して、いっぱいときめかせてもらってます!!更新たのしみにしてます! (2017年12月10日 21時) (レス) id: 1aaa9be303 (このIDを非表示/違反報告)
ユミヤミ - 更新お願いします (2017年8月27日 11時) (レス) id: f8c960a3cf (このIDを非表示/違反報告)
れい - 待ってました!更新頑張ってください (2017年8月22日 23時) (レス) id: 78b913d76d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんず | 作成日時:2017年3月2日 17時

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