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第7話 ページ7

*


神谷くんの言葉で
火照った顔を冷ますように
冷房で少し冷たくなっていた両手で
頬を包んでいると

大きなハンバーグがのった鉄板と
ライスがテーブルに運ばれた。

ハンバーグが大きい分、ライスも大盛りだ。


鉄板がまだ熱いのでお気をつけください、
と軽く頭を下げる店員さんに
「ありがとうございます」と
私も小さく頭を下げた。


プツプツとデミグラスソースが
弾じけながら美味しい香りを放っている。



「食べきれなかったら俺が貰うから」

「ありがとう!」



返事したものの、
恐らく全部食べられてしまうだろう自分に

ちょっと残してしまうくらいの方が
可愛い?完食したら引かれる?

寧ろ神谷くんにはこの量は足りない?
私の分をあげた方がいい?


なんてうだうだ考えていると
神谷くんが和風ソースのハンバーグを
半分に切っていく。

それに倣って私も
目の前のハンバーグにナイフを通す。


そしてテーブルの端にある取り皿に
半分のハンバーグをのせて交換した。


受け取った和風ソースのハンバーグを
一口サイズに切って口に運ぶ。


「おいひいっ…!!」



思わず顔がゆるっゆるになってしまう私を見て
フッと笑って神谷くんも一口食べて
「美味い」と頷いた。

ハンバーグのあまりの美味しさに
悩みはどこかに飛んでしまい

「ご馳走でした!」と手を合わせた途端
ハッと思い出した時には
綺麗に完食された鉄板とお皿だけが残っていた。



「どっちも美味かったね」

「う、うん!」



成人男性でもきっと
お腹いっぱいになってしまうであろう
あの量を平らげてしまった私に
特に気にする様子もない神谷くん。

小さく安堵の息を吐く私に
神谷くんが笑って尋ねる。


「食い過ぎた?」

「ううん、全然!」


頭を横に振ってから間違えたと気付く。


「ちょっと食べ過ぎたかも」
くらいが良かったかも!?


しかしそんな心配なんてやっぱり無用だった。


「良かった。
無理して食べると美味くねぇもんな」

「あの、神谷くんは?」

「俺?」

「ご飯、足りた?」



私の問いに神谷くんは申し訳なさそうに
顔を歪めて謝った。

実は私を迎えに行く前に
食堂で作り置きされていたおにぎりを
2個食べてきたのだと話してくれた。

謝らなくていいのに、と笑ったら
待たせているのに申し訳なかったから、と。


だから私もお迎えが来る前に
どうしてもお腹が空いて
菓子パンを1つ齧ってきたと白状したら
神谷くんは一瞬目を丸くして
吹き出したのだった。

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設定タグ:ダイヤのA , 神谷カルロス俊樹   
作品ジャンル:恋愛
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もっちー(プロフ) - 続きが楽しみです!!更新待ってます🙌💖💖 (8月27日 2時) (レス) id: 28f73aa9c2 (このIDを非表示/違反報告)
名無し52551号(プロフ) - 続きが気になっています! (2021年1月5日 23時) (レス) id: 990a644328 (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢(プロフ) - 何回も読み返して、いっぱいときめかせてもらってます!!更新たのしみにしてます! (2017年12月10日 21時) (レス) id: 1aaa9be303 (このIDを非表示/違反報告)
ユミヤミ - 更新お願いします (2017年8月27日 11時) (レス) id: f8c960a3cf (このIDを非表示/違反報告)
れい - 待ってました!更新頑張ってください (2017年8月22日 23時) (レス) id: 78b913d76d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんず | 作成日時:2017年3月2日 17時

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