45話 ページ46
Aside
私はただ、ヴィルさんを見つめていた。
付き合ってだなんて言わない。
ただ、私の気持ちを伝えたかった。
ヴィルさんに、自分を認めてほしかった。
『私、ヴィルさんをずっと追いかけてた。
ヴィルさんの隣に並べるような女優になりたくて___…』
私は自分の中にある全部の気持ちを吐きだした。
それでも、ヴィルさんは何も言わない。
…ダメ、なのかな。
こんな言葉じゃ。
私がうつむきかけた、そのとき。
「…A」
『え……?』
…ヴィルさんが、私を抱きしめた。
『ヴィルさっ……』
「ありがとう、A」
『あ、ありがとうって、どうして…』
「やっぱりアタシは、アンタがいるのといないのとでは大違いだわ」
アンタがいなきゃダメなのよ。
ヴィルさんは小さく呟いた。
『そ、そんなの私だって…。ヴィルさんがいないとダメなんです!
だからヴィルさんがオーバーブロットしたとき、ヴィルさんを失うのが怖かった。絶対、いなくなったりしないでください…』
「…ふふ、アンタが“馬鹿”ってアタシに叫んだの、よく聞こえたわ」
『そ、それはすみません…!』
「いいのよ、別に。結構心に刺さったわ、アンタの心からの言葉」
思わず泣いてしまいそうだった。
私の言葉、ちゃんと伝わってた。
「…アタシ、正直ネージュに嫉妬してたのよね。いつも恋人役で隣にいれて、悪役のアタシとは大違い」
『………。』
「でも、今はそれだっていいわ。だってAが、アタシを好きだって言ってくれたんだもの。
アンタを守れるなら、悪役だっていい」
『ヴィルさん…、そ、それって…』
「そうよ」
そして、ヴィルさんは口角をあげて私に言った。
これまで見たものの中で、一番美しい笑顔で。
「…ステージでフライングして口パクしてしまったけれど。
アタシ、Aのことが好きよ。
出会ったときから、ずっと」
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シャーペンの芯(プロフ) - 殿堂入り本当にありがとうございます…!!! (2021年6月14日 6時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - 海月くらげさん» 素敵なコメントありがとうございます!ラプンツェルいいですよね!!(興奮)そして私の作品も好きだと言ってくれて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
シャーペンの芯(プロフ) - なず@ヴィル様の旦那ですさん» マジです!(笑)これからも頑張ってください!応援してます! (2021年4月21日 15時) (レス) id: 37f133a8ec (このIDを非表示/違反報告)
海月くらげ(プロフ) - 完結おめです!シャーペンの芯さんの作品もラプンツェルも好きなので、読むのがとても楽しかったです!これからも…作品楽しく読ませていただきますね!! (2021年4月21日 1時) (レス) id: 27709bd435 (このIDを非表示/違反報告)
なず@ヴィル様の旦那です(プロフ) - シャーペンの芯さん» えまじですか!?わああ嬉しいです!? (2021年4月18日 14時) (レス) id: c2e37a127a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャーペンの芯 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/syapennosin/
作成日時:2021年2月12日 17時