検索窓
今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:1,522 hit

Q.目が覚めたら知らない森の中にいた感想を答えなさい ページ3

·

成主side


どうしてこうなった。


サービス残業という名の社畜名物を死んだ目でこなし、帰りの電車で人混みに揺られ、家に帰って最低限のメイクだけ落として貴重な睡眠を貪った。
今頃は煎餅布団で爆睡している、筈なのに。

髪を振り乱した傘を被ったオバケが刀を振りかざして襲ってくる。

大事な事なのでもう一度言おう。


ど う し て こ う な っ た


オワァーーッ待ってむりむりむり私非力な女性ですから来ないで怖い!!!!


ほとんど防衛本能で何故か腰に携えてあった白刃を抜いて首狙いで一閃を翻す。
目立った刃物は包丁くらいしか握ってこなかった現代生まれ現代育ちの日本人だが、身体が覚えているのかスムーズにオバケを撃退する事が出来た。
首を斬られたオバケは死体すら残らず灰のようななにかになって消えた。

『はぁー……なんなんだ』

全く、こちとらブラック企業で疲れてんのになんでオバケに襲われる夢なんか見なきゃならねぇんだ。
刀の切っ先を地面に刺し、反対の塚に頭と手を乗せるようにして項垂れる。
ん?なんか声が……と思ったところで、ズズンと地面を揺らす足音に視線を向ける。

木を退けるようにして現れた角の生えた巨大オバケに思わずヒュッと息を飲み込んだ。



アレ、ヤバイ。

ワタシ、ニゲル。OK?




『〜〜〜〜〜ッ!!』




逃げるは恥だが役に立つ、という言葉があるが本当にその通りだと思う。

視認した瞬間綺麗にUターンをキメ走り出したが、気のせいじゃなければ後ろからペースの早まった足音が迫ってくる。

やっぱ追ってきてますよねそうですよね!!!!!

ふと、遠目に池が見える。
これはしめた、と高校時代水泳部だった花のJKだった私を思い浮かべる。
え?今?喪女ですけど。泣いてなんかいない。
まぁそれはともかく、最後はほぼジャンプするようにして池の中に飛び込んだ。

大袈裟に泡が上がる。

思ったより悪い視界に苦戦しつつ、とりあえず陸から離れようと足を動かしかけたところで頭皮に鋭い痛みが走った。
ゴポォッ、と思わず口から大量の泡が漏れ出る。
思わず振り返ると、さっきの巨大オバケが私の髪を引っ掴んで水底に引っ張り込もうとしているところだった。

あれなんかいつもより髪が長……夢だからですねくそが!!!



しかし、本当に感覚がリアルだ。
視界の端が白くなっていく、思考がぼんやりと薄らいでいく。



苦しい、苦しい、苦しい!!



もうほとんど反射だった。

迷うことなく腰の刀を抜いて────



ジャキンッ

A.とりあえず夢だと思うことにした→←とある本丸の日常



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
22人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花草 アゲハ | 作成日時:2023年8月15日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。