拾.伊達に三人も嫁が居るだけある ページ12
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夢主side
(言っちゃったーーーーッ!!)
はわわわわ、と口元を抑える。
ヒラ、と要が肩に降りてきた。
何だかとても困った顔をしている、気持ちは分かる。
そして何の偶然か、散歩でもしに来たのか髪を下ろして化粧を落とした普段着の格好をしていた。
つまり顔が良い、いつもだけど。
悪女はいうと完璧に固まっている、そりゃそうである。
かく言う私も変な汗がダラッダラである、頼もしい味方が来て嬉しい筈なのに生きた心地がしない。
この場面で主に男性関連で悪女を刺激するのは…。
愛「ッ……!!」
歯を食いしばり、というか歯が砕け散りそうな勢いで後ろに宇髄さんが居るのも忘れ全力で睨み付けてくる。
(あぁっやっぱり……!!)
途中までは上手くいったと思っていたのに、どうしてこうなったし。
宇髄さんに罪が無いのは百も承知だが、とりあえずこの場にいるだけで心臓がゴリゴリ削られていく感じがするので早く家に帰りたい。
しかし、そんな私は露知らず。
宇髄さんのキレキレの罵倒を止める訳にもいかず、イイ声(cv小西〇幸)と元来の語彙力の高さでぽんぽこ暴言が飛び出していく。
宇「こりゃあれだな、地味越してブスだな!いや〜鬼かと思ったぜ!!」
(お゙あぁ……)←
嗚呼何ということだ、事態はどんどん深みに嵌っていくでは無いか。
一応罠にはめるつもりだったのにネズミ捕りに捕まったネズミの気分だ。いっそ逃げたい。
いや気持ちは分かる、大いに分かるが今では無い。
今では無いんだ宇髄さん……!!
顔の部位を全部キュッッッと真ん中に寄せたい気分である、これが地獄という物か。
上と前から感じる怒りのオーラで胃がキリキリ言っている、近いうちにまた蝶屋敷へ赴くのかもしれない。
?「─────て、天元様〜!それに紬ちゃん!」
?「あっコラ須磨!」
バッと聞こえた声に振り向く。
聞き覚えのある、そして今一番聞きたかった声である。
なんか既視感を感じる気がするが無視だ無視。
そして案の定、視線が胸元に一点集中しそうな開放的な着物を来た女性が涙目で走って来ていた。
『
須「へぁ?!」
走って来たのを抱き留める形でぎゅうぎゅうすれば一部分が物凄く柔らかい。
別に羨ましいとか…思ってないんだからねっ!
上の方から「あっ役得だなちくしょー」と聞こえてくる。
貴方嫁三人居るでしょーが。
愛「ッぅ……!!」
想定外に想定外が重なった結果ではあるが、何とか良い方向に持って行けそうである。
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作者名:朝霧 アテネ | 作成日時:2022年8月23日 23時