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【40話】だってヴィランなのだから、仕方ないじゃないか。 ページ49

side無し


フ「…アズールぅ……?」


涙によって膜が張られた両眼が、零れ落ちんばかりに見開かれた。
嗚呼、やっぱりフロイドらしくない。
そんな表情の



ア「何をそんなに焦っているのです。
お前らしくもない。
…お前はシエルさんが好きなのでしょう?」


仮にも相棒のような男の色恋なのだ。
アズールにとって、損得勘定抜きで協力するに然るべき事柄であった。


フ「え。…ウン」

ア「ならば、動きなさい」



ア「好きならば、愛せばいい」

ア「囲えばいい」

ア「そしてーー奪ってしまえばいい」


フ「…奪う……?」



それは、道標。

恋に迷い、恋に焦る男の手を確かに引っ張る数多の手。
決してそれは…王子の道とは言えないけれど。
けれど、けれど……。



ア「貴方は、フロイド・リーチでしょう?」



NRCで通う、ヴィランの、フロイド・リーチだ。

そう告げるアズールの瞳は、酷く決意に満ちていた。
堕ちてこい。
そう、言っているように見えた。

更に更に、深みへ。

尊敬する先輩の恋事情をーー囁かな心配する思想をする裏に隠しながら。
結局は、相棒が心配なだけなのだ。
ただーーどちらもこちらも、ヴィランなだけで。



パチ、と暫しヘテロクロミアが瞬く。

次いでーーキュッと引き結んでいた口角が、にやりと楽しげに上げられた。



フ「ーーァハ♪」



嗚呼、何を焦っていたのだろう。

自分はヴィラン、悪役なのだ。
悪役にも恋があっても良いじゃないか。
それがーーNRCには似つかわしくないほど純粋な、【光】に恋したとなれば。


だって、ヴィランなのだ。

欲しくなったら───グルグルッと尾びれを巻き付けて、海の底にも連れていけばいい。
堕ちれば良い、堕ちて来い。
こちらは……とっくに大口を開ける準備は出来ているのだ。




堕ちろ、堕ちろ、堕ちて来い。


願わくばーーその眼が、未来永劫己を写す事を願って。

この日、初めてーーフロイドの中に、恋という名の感情の【自覚】が湧いたのだった。


□□□□
※注釈※

フロイド自身がようやっと本格的に恋を自覚し、これから着々と外堀を埋めていこうと決意しただけなので別にヤンデレとかでは無いです( ̄▽ ̄;)

あくまで健全な…ヴィランらしい思想だけなので…ハイ(健全とは)

【予告編】→←【39話】自覚した恋。



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シアン・ローズ(別アカ) - サンズに勝てる・・・・・・・・ライトセーバー買おうかな・・・・・・・・あと更新頑張って下さい! (2022年10月25日 20時) (レス) @page25 id: 215c26ef03 (このIDを非表示/違反報告)
菊乃(プロフ) - 愛菜さん» (*- -)(*_ _)ペコリ (2022年2月22日 12時) (レス) @page18 id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - いえいえ!自分も一瞬気づかなかったです笑 (2022年2月22日 12時) (レス) id: b3d1c81104 (このIDを非表示/違反報告)
菊乃(プロフ) - 愛菜さん» アッすいません書き忘れです!修正してきます(´・ω・`) (2022年2月22日 12時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - 男主君の各キャラの呼び方の所の二年生の所にシルバーが居なかったんですけど書き忘れですか? (2022年2月22日 11時) (レス) @page9 id: b3d1c81104 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:菊乃 | 作成日時:2022年2月20日 21時

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