【34話】溺れるようなキスをした。 ページ42
フロイドside
ーー悲しそうな顔だ。
確かに驚いたけど、嫌とは一言も言ってない。
目の前のタツノオトシゴ先輩は、瞳を伏せて悲しそうな顔を浮かべていた。
…僕とキスするのが嫌？そんな……
そんな訳、無い。
『……フロイド君？』
だって、オレは他人にこんな事はしない。
ジェイドとアズールは大好きだけど…雌に求愛するような好きとは、ちょっと違う。
だって、オレは、オレはーー。
シエル先輩の事が────、
『──ん、ぅっ？！』
目を伏せ、下を向き警戒を解いていた。
そんな油断の隙をつき、オレはーー、一気に距離を詰め、その小さな口へと長い舌をねじ込ませていた。
瞬間、ビクリと震える小さな背中。
仮にも元軍人だからと、両腕を背中に回して全力で拘束を試みた。
それでも押し返そうとしてきた為、抱え込むようにして抱き締めたままググ…と押し倒すようにして背中をほぼ平坦まで曲げ腕の中に閉じ込めた。
奇しくも、それはあの時の飛行術と同じような感じで。
バチッ、と驚いたように見開かれる緑色の瞳と視線がかち合う。
それが堪らなく愛おしくて、ねじ込ませた舌でペロリと上顎を舐めれば押し返そうとしていた手がギュ、とオレのパーカーに皺を寄せた。
カシャ、と眼鏡が落ちる。
『んん、ふ、ふぁ…っ、！』
眼鏡が落ちて、更に見やすくなった緑色の瞳はゆらゆらと膜が張っていて。
嗚呼、やっぱり綺麗だと。
そう、確かに思ったのだ。
くしゃ、と片手をシエル先輩の後頭部に這わせた。
降ろされたそれは、酷く柔らかくて。
角度を変えて口の中を舐めれば、ポロ、とまろい涙が頬を伝った。
『んっ、ふ、ひぅ…っ、…！』
ズル…と辛うじて押し返そうとしていた手が遂に滑り落ちたところで、オレはぷはっと口を離した。
と同時に、酸素を多く取り入れようとして強く咳をする音が聞こえてきた。
かくいうオレも、背中を曲げてキスしてたからちょっと頭がクラクラする。
『…？……？！…』
放心状態。
顔は茹でダコみたいに真っ赤だった。
フ｢…どう、良かったでしょ？オレのキス｣
『……、』
フ｢目を逸らさないで｣
フ｢逃げないで｣
フ｢オレから離れないで｣
フ｢あの時のキスを、偶然で済まさないでよ…っ｣
嗚呼、オレは今どんな顔をしてるんだろう。
恋はよく分からない物だし、分かっててもきっと煩わしくて面倒臭い。
そう思ってるのに…。
本心では、シエル先輩に嫌われたくないとーーそう、思ってしまうんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 116人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シアン・ローズ（別アカ） - サンズに勝てる････････ライトセーバー買おうかな････････あと更新頑張って下さい！ (2022年10月25日 20時) (
レス) @page25 id: 215c26ef03 (このIDを非表示/違反報告)
菊乃(プロフ) - 愛菜さん» (*- -)(*_ _)ペコリ (2022年2月22日 12時) (レス) @page18 id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - いえいえ！自分も一瞬気づかなかったです笑 (2022年2月22日 12時) (レス) id: b3d1c81104 (このIDを非表示/違反報告)
菊乃(プロフ) - 愛菜さん» ｱｯすいません書き忘れです！修正してきます(´・ω・｀) (2022年2月22日 12時) (レス) id: d0b76ddb34 (このIDを非表示/違反報告)
愛菜(プロフ) - 男主君の各キャラの呼び方の所の二年生の所にシルバーが居なかったんですけど書き忘れですか？ (2022年2月22日 11時) (レス) @page9 id: b3d1c81104 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：菊乃 | 作成日時：2022年2月20日 21時
