☆ ページ37
「いつまで見送るつもり?」
手を振り返していると、その手首を掴まれた
「まだ、レオと一緒に居たかった?」
『お茶する予定だったしね。』
「・・・。」
『手、離してもらえる?』
「ご、ごめん。」
慌てて掴んでいた私の手首を離した
『旅館、戻る。』
「え、姉ちゃん?戻るの?」
『だって、観光気分じゃなくなったし。』
旅館の方向に歩き始めた私を追いかけてくる剛典
「もしかして、俺と一緒にいたくないって事?」
『かもね。』
後ろから、くいって服を掴まれて足を止めた
「姉ちゃん・・・Aさん、ごめんなさい。」
消え入りそうな声に首だけ振り返ると、剛典のつむじが視界に入る
思わずこぼれた溜息に、剛典の肩がビクッと震えた
『そこの公園。一人じゃつまらないし、つき合って。』
がばっと顔を上げて、私の方を泣きそうな顔で見てくる
「うん。」
嬉しそうに私の手をとって歩き出そうとしたが、すぐに足を止めた
「あのう。手、繋いでもいい?」
様子を窺いながら、ぎゅっと握りしめてくる
剛典の言葉と行動の矛盾に、つい笑ってしまう
『ふふっ(笑)』
「それって、いいの?ダメなの?」
『さぁね。』
繋いだ手を解かず、そのまま公園へと向かった
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作者名:薫 | 作成日時:2017年10月29日 0時