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「おはよ、A。」
『おはよう、隆二。』
「ねぇ、それで行くの?」
膝上のプリーツスカートに、胸元が少し開いたシャツ。
『何か、変?』
隆二の前で、クルクルっと回ってみせた。ムッとした顔で、黙ってこちらを見ている。
『隆二?』
いきなり手を引かれて、ソファーに押し倒された。
そのままスカートの中に手を差し込まれ、胸元と鎖骨辺りに唇の感触。
いきなりのことに戸惑っていると、見える範囲にキスマークをたくさんつけられる。
切ない声で私の名を何度も口にし、何かの感情をぶつけてくるように抱かれた。
こんな時でも、聞こえてくる隆二の甘い声が好き。
ようやく隆二から解放されたのは、遅刻ギリギリの時刻だった。
何かを言いたげにしていたが、話している時間はない。
慌てて着替えて、部屋を飛び出した。
三代目との仕事の為、会議室に入る。
目ざとい臣に、早速服装のことで突っ込まれた。
臣「Aも苦労するなぁ。」
『なんで?』
臣「つけられたから、このシャツなんだろ?」
キスマークが、ジンジン熱を持つ。
私の反応に、ニヤッと笑ってメンバーの元へ行ってしまう臣。
気恥ずかしくて、まだ一度も隆二を見ることが出来へん。
使用した用具や資料を片付けていると、会話が聞こえてきた。
健「隆二、何ボーっとしとんや。体調でも悪いんか?」
それはないわぁ。朝から、いろんな意味でめっちゃ元気やったし。
臣「Aとケンカでもした?」
ケンカはしてへんけど、隆二の様子が変やってんなぁ。
岩「隆二さん?」
「ごめんね、A。」
謝られる理由が、何かわからへんけど。
『反省してるなら、ええけど。』
なんて言うてみたりして。
近づいてきた隆二から、ふわっと香るいい匂い。隆二の香りが好き。
今朝のことを思い出して、体が熱くなる。
ポーッとしたまま隆二を見ると、抱き寄せられた。
「そういう顔も、俺以外に見せないで。」
キュンってなったんやけど、今。
『あほちゃう。』
可愛くない言葉が出てきてしまう。
ほんまは、嬉しいくせに。
「Aのあほちゃうは、愛情の裏返しだもんね。」
『うん。』
素直に、うんって答えてもうたやん。
ふにゃんって笑う隆二。ずるいわぁ。
この笑顔に、ほんまに弱いねんて。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年11月16日 3時