恋人の関係１：今市隆二 (ページ18)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:203,001 hit

＊ページ18

地下の駐車場へ着いて、隆二の車を見つける。

近くまで寄ってみると、ハンドルに突っ伏している隆二。

助手席の窓を軽くノックした。

その音に驚いて体を起こした隆二が、ドアを開けてくれる。

ドアから覗かせた隆二の瞳は、濡れているように見えた。

『隆二？』

車に乗り込み、声をかける。

「やっと来たぁ～。」

安堵した様子で、私を抱きしめた。そんな遅なったかなぁ。

でも、待たせた事には変わりあらへんし。

『ごめんな、遅なって。』

「ん。」

『高橋に声かけられて。』

「彼と会ったの？」

隆二の腕に力が入る。

『うん。七海ちゃんも一緒やったよ。』

「そっか。・・・何か、言われた？」

『隆二の事をかっこいいって言うとった。そんなん当たり前やん、だって私の隆二やし。』

「なんだよ、それぇ。」

ふふっと笑う、隆二。

『何で笑うん？』

「嬉しいなって思ったんだよ。」

『なぁ、隆二。お家、帰ろう。』

「Aの部屋でいい？」

『ええよ。何、食べたい？』

抱きしめていた腕を緩め、私を見つめる隆二。

「A。」

『へっ？』

「今すぐ、Aが食べたい。」

何とも言い難い表情をしている隆二。茶化してはあかんと思った。

『ほな、早よ帰ろう。』

すっと運転席に体を戻して、エンジンをかける隆二。

なんか、あったんやろか。話してくれたらええのに、一人で悩まんといて欲しい。