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寝室に入ってすぐ、後ろから隆二に抱きしめられた。
私は、前に回された隆二の腕をそっと外す。
「A?」
隆二と向き合う様に立つ。
『隆二、』
「ごめん。看病に来てもらった日、ひどい態度とった。俺、うつしちゃいけないってことばかり考えてて。Aが、わざわざ福岡の方から来てくれてたとか知らなくて。その後だって、ちゃんと連絡しなかった。時間が経つほど、連絡するのが怖くなって。」
『あのな、』
「俺が知らない女性といて、誤解させるような行動とってごめん。それは、あの、健ちゃんとご飯食べる約束してて、彼女も一緒にってことになって。それで、」
『りゅ、』
「Aにただのファンだって言われた時、すごくショックだった。でも、あの方法が最善だったんだよね。だから、」
『隆二。』
涙を浮かべた情けない顔をした隆二が、私を見つめている。
「だって、もう嫌やって。それって俺とのこと、」
『あれは、自分に対して言うたんよ。』
「でも、そうさせたのは、俺でしょ?」
『せやな、隆二のせいやわ。』
明るく冗談めいて言いたかったのに、顔を見れず俯いてしまう。
「俺、振られるの?」
私の服の袖口を掴んで、俯いた私の顔を覗き込む隆二。
『久々に会うたら、どこぞの美人さんと一緒やし。てっきり振られたんやと思って。しかも、その美人さんが元カノさん似なもんやから、余計にへこんでしもうたやん。そしたら、泣けてきて。そんな情けない自分が嫌で仕方なくて・・・。』
「・・・ごめん。」
『ほんま、どうしてくれんの?好きになりすぎて、困るわ。』
隆二に抱きつく。
「それ、俺のセリフだから。」
ぎゅーっと力いっぱい抱きしめ返された。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年11月16日 3時