恋人の関係１：今市隆二 (ページ12)

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健ちゃんと俺のオフが重なったある日。

家に彼女の理子ちゃんを連れて遊びに来ることになり、食材の買い出しに近所のスーパーへ。

健ちゃんの帰りが少し遅くなるって言うから、二人だけで向かうことに。

理子「隆二君、何食べたい？」

「ん～、パスタ？」

パスタコーナーに行くと、色んな味のソースが置かれていて迷う。

Aがいたら、Aの食べたい味を2種類選んで交換し合うんだけどなぁ。

そんなことを考えつつ、理子ちゃんと話して決めていく。

俺が迷っていることを察して、両方作ってくれるという理子ちゃんの方を振り返ると、視線の先にAが立っていた。

思わず、笑顔になる。

声をかけようとしたら、その場を去って行こうとする。

慌てて追いかけて、腕を掴んだ。

ゆっくり顔を上げたAは、泣いていた。

どうして泣いてるの、何があった？

理子「隆二君、どうしたの。・・・知り合い？」

声をかけてきた理子ちゃんをAに紹介しようとしたら、信じられない言葉で遮られた。

『ただのファンです。――』

そう言って、走り去って行くAを追いかけられず、呆然と立ちつくしてしまった。

理子「よくあるの、こういうことって。健ちゃんにもあるのかなぁ。」

足らない食材を探しに店内の奥へ向かう理子ちゃんとは、逆の出口へと急いで向かう。

付近を探して見当たらなかった。もしかしたらと思い、自宅マンションの近くまで探しに来た。

何やら慌ててこちらへ向かってきたAを捕まえて、部屋に連れてきた。

久々に見たAは、顔色も悪く少し痩せた気がする。

何かを言いたげな顔をしているくせに、何も言い返してこない。

やっとしゃべったと思ったら、理子ちゃんのことだし。

置いてきちゃったから、連絡ぐらい入れとかないと。

通話を終えた俺の耳に聞こえたのは、「･･･もう嫌やなぁ。」って言ったAの涙声。

心臓がバクバクして、立っている足が震える。

「もう嫌って、どういう意味？」

今、話し合わないとって思うのに、Aは帰ろうとする。

ナイスタイミングの健ちゃん登場で、なんとかAを引き止めることが出来た。