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事務所の通路を歩いていると、前方にAを発見。
声をかけようとしたが、社員の人と書類を見ながら話し込んでいた。
たしか、同期の高橋さんとか言ったかな。時々、Aとの会話に登場する人物だ。
なかなかのイケメンだ。しかも、近くを通った他の社員さんたちに、お似合いな二人とか言われてるし。
すっげぇ、モヤモヤする。
Aとの用事を終えたのか、高橋さんが去って行く。
「A。」
健「A」
岩「Aちゃん。」
俺がAを呼んだ声は小さくて、健ちゃんと岩ちゃんにかき消されてしまった。
二人に気づいたAが、楽しそうに話している。
入っていくことも出来ず、見ているのも嫌で、その場を離れ歩き出した。
通路の角を曲がった辺りで、背後からコツコツ聞こえてくる足音。
『隆二。』
呼ばれて立ち止まり、振り返る。
「なんで。」
Aが、駆け寄って来る。
『さっき、呼んだやろ?』
「呼んだ。でも、」
『聞こえたで、ちゃんと。隆二の声やもん。』
俺の顔を覗き込んで、ニコッと笑いかけてくるA。
小さな声でも、Aに届いていたんだ。
うれしくて、思わず抱きしめたくなる。
『あかんで、ここ会社。抱きしめたかったら、さっさとボイトレ終わらせておいで。』
どうしてこう、俺の気持ちがわかっちゃうんだろう。
「一発で、決めてくる。」
『久々に、隆二の家に行きたいなぁ。』
「うん、後で迎えに行くから。」
『はーい。ほな、おきばりやすぅ。』
ひらひらっと俺に手を振って、通路を戻っていくA。
さっきまで沈んでいた気持ちは、急上昇。
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作者名:薫 | 作成日時:2016年11月16日 3時