BLUE in BLUE Vol.4

俺は力いっぱい透子を抱きしめた。
左手は背中からウエストを抱え込むように強く引き寄せ、右手をその髪に乱暴に差し入れる。
「んぁっ…」
くっそ。いやらしい声出しやがって…。

「オレの彼女になれよ。オレ、マジで言ってる」
低く、でも通る声。わたしの心の奥底を覗き込んでくる不思議な目が近すぎる。
つかまれた両手が熱い。
今市くんの手の力が強くてめまいがする。

「オレんちめちゃくちゃ複雑で大学行けるかわかんないから。だから、未定」

今市くんが愛おしい。この人の気持ちが本当にわかるのはわたしのような人間なんだと思う。
でも、わたしは教師なんだから…
ふたつの思いに引き裂かれる。

両手にマグカップを持ってリビングに入って、俺は動けなくなった。
透子が下着姿で立っていた。

愛おしい。
いま、完全にオレは年齢の差を忘れた。
年上の人、教師と生徒という枠を飛び越えて人と人、男と女として向き合っていた。

校門脇の小さな庭に立っている外灯だけが今夜のオレたちの光。偶然の間接照明。
近づくとお互いの顔がぼんやりと見えるくらいの明るさ。最高のシチュエーション。
夜は、長い。

やられた。
さすが隆二。ある意味完全犯罪。誰も邪魔できない状況。執筆状態：続編あり(完結)