Dear my besties 15 〜from Finally〜

☆ ページ49

あたしは号泣した。



やだ！

Aさん、いなくなっちゃやだ！

やだやだやだ！



がらんとした店内にあたしの叫び声が反響する。



　



ゆうべ、Aさんが死んじゃったんだってわかってもあたしは泣いたりしなかった。

Aさんの身体が冷たくて寒いだろうなとか、ひとりになったらかわいそうだからずっと一緒にいてあげようとかそんなことばかり考えて、死んじゃったんだっていう実感はわかなかった。

直人さんが号泣していても、どこか遠くの国のできごとのようでよくわかんなかった。



けど、いま、Aさんの声を聴いて、Aさんの本当の気持ちを知って涙がこぼれたいま、はじめてAさんが死んでしまってもう二度と帰ってこないんだということを知った。


これは泣くことなんだとはじめて知った。




はじめてAさんが遠くへ行ってしまったことを知った。



　


大人になってから、人前でこんなに子どもみたいに泣きじゃくったのははじめてかもしれない。お父さんのときだってここまでではなかった。

けれど今日はもうこらえようがなかった。


そしてなによりみんながいてくれるから泣けるんだとわかっていた。


あたしはみんなに甘えていた。


今日だけは甘えさせて、と思っていた。



そしてみんなはあたしを甘えさせてくれた。


みんなも泣きながら、それでもあたしを甘えさせてくれた。





あたしは家族に守られていた。

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