Dear my besties 15 〜from Finally〜

☆ ページ13

海までのドライブ中、楽しそうに歌ったり踊ったりしていたAだったけれど、もうすぐつくというあたりで「うわぁ、潮のにおいがする！ 海だぁ！」とはしゃいだ直後に突然くったりと黙り込み、オレは肝を冷やした。


焦りながらもどうにか砂浜の目の前の駐車場に車を停めてAに声をかけると「へへへ。仮病〜」と笑ってみせたが、唇の色が悪く、無理をしていることはすぐにわかった。


「ほら、海。見えた？ じゃ帰るよ」

「えぇっ！ やだやだ！ もっと海見てたい。あ、ねぇ、結花のコーヒー、飲みたいな」


サーモスにつめた結花ちゃん特製のコーヒーをすすると、Aは満足げに目を閉じてうなずいた。

どうやら結花ちゃんは相当頑張っているらしい。


少しずつ頬に赤みが戻ってきたのを見てオレは胸をなでおろした。

積み込んでいた毛布を取り出し、Aをぐるぐる巻きにして抱き上げる。海に向かって後部扉を開け放してあり、その下の広々とした荷物スペースにAを座らせる。背後からAを抱きしめるようにしてオレも腰をおろした。



波の音が耳を打つ。



ふふふと笑うAの頭にあごをのせたまま考える。



さっきは一瞬あせったけど、やっぱり今日は本当に体調がいい。


気分がとてつもなく明るくなる。

　




波の音。



いま、Aはなにを考えているのだろう。

☆→←☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す