Dear my besties 13 〜from Finally〜

☆ ページ21

この一時間ほど、ひと気のなくなった店でオレとAさんは額を突きあわせるようにして話し合いを続けていた。


「こうで、こうでしょ」Aさんが電卓をたたく。「ほらー。これだとエリーくんとこの利益が薄いよ。……これを……こうでどう？」

「いやいやいやー。あのね、Aさん。知名度でいえば圧倒的にArcobalenoのほうが上なんだよ？ のっかるのはオレのほうなんだからいいの、これで。ほら」


電卓を眺めてAさんは腕組みする。


「うーん、まぁ最終的には結花と詰めてもらえばいいんだけど、わたしはエリーくんのところにとってもうちにとっても等分にいい話にしたいなと思ってるんだからね。それだけは忘れないでね」

「コラボさせてもらえるだけでうちは十分いい話になってるから」



そのとき聞きなじみのあるギターが大型スクリーンから流れてきた。


Aさんが静かな声でつぶやく。


「Black or White。病室でも何度も何度も観てた。このPVって観れば観るほど奥が深いんだよね」

「そーうなんだよ！ わかってくれる？ あの最後のシーンでさぁ」



オレたちはひとしきり話しこんだ。


そしてマイケルジャクソンというひとについて話しているうちにAさんが「そういえばね……」と話し出した。

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