Dear my besties 13 〜from Finally〜

〜Elly’s eyes〜 ページ20

Elly’s eyes


深夜。

そろそろ閉めようかなと思っていたところで客が入ってきた。

「いらっしゃい」と言いかけて息をのんだ。Aさんだったから。


思わず駆け寄る。


「どうしたの、こんな時間に。退院したばっかなんだから無理したら……」「だーいじょぶ！」


Aさんはオレを遮って微笑むと「美味しいお酒ください。……なーんちゃって。ペリエください！」と弾むように言いながらカウンター席に腰をおろした。


「ユーカは？ ここに来てること知ってるの？」

「ふふ、そーっと抜け出してきちゃった。でも大丈夫、最近結花はものすごく忙しくて朝までぐっすり寝てるから」


まずいな、と思う。

もしもAさんがいないことに気づいたら、ユーカはめちゃくちゃ心配するだろう。


でもまぁそのときはまずLINEで伝えてくるだろうから、携帯を手元に置いておけばいいかと思い直す。




最後の客の会計をしながらAさんの様子をそっと盗み見る。


音楽に合わせて首を揺らしながら楽しそうに店内を見回している姿は重い病気を患っているひとにはとても見えない。



ふっと息を吐く。



そうだよな、オレらには直己先生がついてるんだから間違いない。

長い入院だったけど退院もできたし、こんな時間にここに来ることができるくらい体調がいいってことだとオレは前向きに解釈した。



それくらいAさんは元気そうにみえた。

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