Dear my besties 13 〜from Finally〜

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そう、当時の僕はまだ見習いでご両親を直接診察するわけではなく、日々の生活のアドバイスをするくらいがせいぜいだった。それでもできるだけたくさんの患者さんとコミュニケーションをとろうと張り切って動いていた。そうだ、最近はこの初心を忘れていたな。患者さんとのコミュニケーション、とこころにメモする。


とにかく、当時はそんな状況だったためそれほどAさんとの接触もなかった。

芯の強そうな綺麗な娘さんだな、くらいの印象だった。


こんなにAさんと親しくなるとはあの頃の僕は夢にも思っていなかった。




しばらくの沈黙のあと、Aさんがゆっくりと話し出した。


「まだ学生だったしひとりっこだったこともあって、両親を失った喪失感は本当に大きかった。生意気にも生きていくのが嫌になった瞬間も何度かありました。でもね」


Aさんがうつむいて微笑む。


「先生が何度もうちの両親に言っていた、＜食べることは生きることと直結しているんです、さぁ食べましょう＞って言葉がすごく頭に残ってたの。そうか、確かにそうだよなって。絶望の底にいたわたしにとって、食べることは生きることだっていう言葉が深いところでものすごく納得できたの。それからのわたしはすごく頑張れるようになった。生きることと直結している食べものを扱う仕事をしたいってこころに決めてから」

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