31話 ページ31
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A「望!」
望は寒そうに鼻を赤くし、白い息を吐きながら待っていた。
小瀧「…ほんまに来てくれたん?」
A「望、ひとりで苦しまないで」
望の冷えた両手を包み込むと、
小瀧「…暖かいな、Aの手」
ふわりと微笑んでくれて。
そうだ、私はこの笑顔が好きだった。
この優しい声が好きだったなぁ、なんて。
あの頃の気持ちを思い出した。
鮮明に思い出した。
…でもあくまでも “ だった ” なんだ。
今、私が好きなのは…私の大切な人は…
気づいたら大ちゃんのことを考えてた。
望のところへ行こうとする私を引き止めた 大ちゃんの悲しそうな表情を思い出していた。
A「望、私…」
小瀧「なぁA」
A「…ん?」
小瀧「何しに来たん?」
A「…え?
それは…望が 会いたいって言うから…」
小瀧「ちゃうわ、そういうこと言うてるんとちゃうねん。
慰めに来てくれたんやろ?
せやのになんでAが泣いてるん?」
A「え、私泣いてなんか…」
頬には涙が流れていた。
A「なにこれ、え、なんで…」
小瀧「…大事なもん、置いてきたんとちゃうの?」
A「…え?」
小瀧「俺よりも大事なもん、あったんやろ?」
A「でも…」
小瀧「顔見れただけでじゅーぶん。
ほら、はよ行き?」
A「ごめん…」
小瀧「そんな悲しい顔しながら言われるごめん、なんていらんわ。
ほら、笑ってや」
A「…ありがとう、ありがとうね、望」
そう言ったら望は満足そうに笑った。
…ごめんね、望。
小瀧「…なにしてんねやろ、俺、」
背中を向けて走り出した私の後ろから望のそんな小さなつぶやきが聞こえて、余計に私は涙が溢れた。
それでも、それでも私は振り返らず、大ちゃんの元へと走った。
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ひのりーる(プロフ) - 一波さん» 前作、今作とコメントありがとうございます(泣)頑張ります^ ^ (2019年4月16日 23時) (レス) id: 7a7ddd48ba (このIDを非表示/違反報告)
一波(プロフ) - 更新分まで読み終わりましたー!この二人見てると微笑んでまいますね(^^)続き楽しみにしてます(^^) (2019年4月16日 2時) (レス) id: 9b260c34a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひのりーる | 作成日時:2019年4月14日 1時