ハッピーエンドはまだ遠く (ページ8)

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「えぇで。でも今年めっちゃ長いで？目黒くんこそ、逆にえぇの？」

　笑いながら、逆に聞き返してみる。「あれ、そんなに長かった？」なんて疑問系で言うから、可笑しくなってきた。

「最初に言うたやん、10日もあるんやなーって」

　今度は俺が笑い止まらへんくなってまう。
最近気付いたけど、目黒くんはちょこちょこ抜けとる。それが可愛いところでもあるんやけどな。

「えー、そんな笑わなくてもいいじゃん」

　次はちょっぴり不機嫌そうな顔。ほんま目黒くん見とったら飽きひんわ。

「俺、向井さんとだったら、10日なんかすぐだと思うけど」

　じっと見つめて、言われる。急にそんなんされたら、心臓飛び出るかと思ったやん……。最近味わってなかったこの感じに、余計心臓がうるさいと思った。

「えー、ほんまに？」

　誤魔化すように笑って返す。
ドキッとしたの、バレてないかな。

「ほんまに」

　目黒くんの関西弁。俺の真似しただけかもしれんけど、破壊力えげつないわ。
ドキドキさせられっぱなしも負けた気がするから、こっちからも挑戦状を叩き付けたる。

「じゃあ、いろんなところ連れ回したるから、途中でバテんといてや！」

　とびっきりの笑顔付きで。

「わかった、じゃあ決まりね」

　……負けたわ。笑顔が眩しすぎる。
でも、決まったからには、ある程度の予定は立てたい。

「どっか行きたいとこないん？」
「向井さんの、おすすめのとこ」
「えー、またそれ？」

　目黒くんになんか聞いても、いっつもこれ。だってこっちのことわかんないし、って言うのもセット。
まさか、ここでも出てくるとは思わんかったけど。

「とりあえず初日は有名なとこ行こか？」

　でももう慣れたから、何個か案を出してみる。

「大阪城とか、通天閣とか、……海遊館？いや、最後のは違うか」

　だってデートみたいやん、とは口には出さんとく。
冗談やけど、口に出して言うのはちょっと恥ずかしい気がした。

「1日かけて回れるくらいのとこがいいかな」

　その間に次の日からの予定も決めれば良いし、と目黒くんから提案があって、それに乗る。

「じゃあ通天閣にしよか！新世界とかいろいろ回ったらえぇし！」
「うん、よろしくね」

　ふわっと微笑まれて、今日何回目かのそれ。
ほんまになんなん、これ。またぐるぐる考え出してまう前に、明日の待ち合わせ場所と時間を決めた。

　こうやって、俺の長い長いゴールデンウィークは始まっていった。