復讐の先に (ページ26)

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F side

次の日、宏光の捜索願が最近になってだされていることを知った。

母親は宏光への愛をやっと自覚したのだろう。

もう潮時だと思った。

このままだと復讐もできずにただ俺の罪が重なっていくだけだ。

それじゃだめだ、俺だけじゃない、宏光にもよくない。

F「宏光。俺、自首する」

K「え、ふじがや…？」

F「母親がお前を探してる。警察に届けもでてる」

K「え……。でもっ、おれ、藤ヶ谷といたいよ」

F「もうこのままじゃいられない。宏光はこんな犯罪者といっしょにいちゃいけないんだよ」

K「でも」

F「俺は母親に顔も見られてる、名前もわれてる。捕まるのも時間の問題だ。なら、自首して少しでも罪を軽くさせてくれよ」

K「っ…」

F「俺のこと、少しでも思ってくれるなら、お願い」

K「……ずるい、よっ…」

F「ごめんね、宏光。ずっとここにいたら自由じゃいられない。外にもまともにでられない。そんな人生を君には送ってほしくない。自由に、生きてほしい」

涙があふれて止まらない宏光を優しく抱きしめた。

すごくあたたかくて、優しい気持ちになった。

父親が俺と母親の生活を守ってくれたように、自分がどうなっても大切な人だけは守りたくなる気持ちってこういうことなのかな。