押し問答の末 ページ6
.
困惑していると、ゼロくんが冷静に言い放った。
「A、言っておくが…さっきから全部口に出てるからな」
『エッ………』
そりゃあヒロくんが否定したくなる訳だ。
心の中じゃ好き勝手言っているから。
マジか、と目をひん剥きそうになりながら、ヒロくんの方に目をやった。
『お兄様がそんな能力を秘めていたとは……お見逸れしました…』
「だから違うって！！」
お兄様ってなんだよ、と怒るよりもそちらに気がいってしまったようだ。うーんとね、これはね、時代劇をイメージしてるんだよ。いやぁいいよね、江戸時代とか。衣装が着物ってだけでフィルターかかっちゃうもんね！
もはや茶番と化しているのだが、正直私の思惑通りである。
ゼロくんにはどれだけ認めたくないんだよ、と呆れたように笑われてしまった。
『とにかく！！説明してもらいましょうかね！！私は二人の口から聞くまでは、ぜェーったい納得しないから！！』
さっき応援してくれるって言ったのに…と小動物のように震えた声で呟いたヒロくんはこの際無視だ。
可愛いけど、いや、とても可愛いけどさ。
妹として、二人を送り出す身として、心を鬼にしなきゃいけないんだ。
「その件については悪かったよ…Aに言ったら悲しまれると思ったからな」
「そうだよ、俺たちだってAの笑ってる顔が少しでも多く見たいんだ。こんな形での報告になってしまったけど、許してくれないか？」
ゼロくんも、ヒロくんもズルいんだ。
どう言えば私が首を縦に振るか知っている。
眉を寄せて、困ったように私の顔色を伺いながら話すんだ。
『それでも…隠し事なんてして欲しくなかった…ちゃんと二人に向き合って、二人の夢を応援させて欲しかった』
話しながら涙が浮かんでくるのが分かる。
視界に映る二人が、じわじわと滲んで見えなくなる。
それでも、二人が私の様子を見て慌てたようにたじろいだのは分かった。
「A…ごめん。Aが隠し事を嫌うのは、俺達が良く知っているのに」
ゼロくんの言葉に、ヒロくんが黙る。
私も何も言わずに俯いている。
空気が重たく張り詰めた、その時。
『ふふ…ふはっ、あははは！ごめんね、困らせちゃって！確かに隠し事されてたことには怒ったし、二人と会えなくなるのは寂しいけど…」
____でも、ちゃんと応援するって決めたから！
堪えきれずに笑みが零れ、そうやって言ってニカッと笑うと二人は驚いたように目を見開く。
そして、嬉しそうに目を細めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 346人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天桜＊(プロフ) - ネイジェさん» はじめまして！コメントありがとうございます！本当に楽しみですよね…！！動いてる皆に会えるのが待ち遠しいです…！お気遣いありがとうございます、お互い体には気をつけましょうね；；更新頑張りますのでどうぞお付き合いよろしくお願いします☻ (2021年12月18日 22時) (
レス) @page28 id: 2fdd3479dd (このIDを非表示/違反報告)
ネイジェ - いやもう面白すぎ！！来年の映画、楽しみですよね・・・！オタク仲間？か、どうかは分からないけど、応援してます！更新頑張って下さーい！！体にも気を付けてくださいね！ (2021年12月18日 19時) (レス) @page28 id: 09b28cb614 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - ソラさん» 初めまして！コメントありがとうございます！！そう言っていただけて嬉しいです〜！！一緒にいるだけで元気を貰えるような、そんな妹ちゃんを目指して書いてます…！！ゆっくりではありますが更新していきますのでよろしくお願いします！！ (2019年8月22日 17時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 初めまして。小説読みました。ごーうぃんぐまいうぇいな妹ちゃん可愛すぎ(*¨*)こんな妹ちゃんだからこそ、警察学校組は頑張って行けるんだろうなと思いました。続き楽しみにしています。(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2019年8月22日 14時) (レス) id: 488a1f3fec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
