-S- loving you.Ⅱ (ページ1)

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翌日、特に異常もなく退院した
久しぶりに帰った自分の家は、懐かしかった

「どう？久しぶりの我が家は」

『…新築じゃないのに、新築の匂いがする…』

「何言ってるの」

そう言って母はケラケラと笑う
リビングのソファに座ると、母は紅茶を出してくれた

「学校ね、大事を取ってしばらく休学することにしたから。届け出も、出して来たから」

「休学？…どうして？」

「…まだ帰ってきたばかりなのよ？あんなことがあって…

それに、あなたの場合…出席日数が足りないから、

もしかしたら留年や編入を考えなくちゃいけないのよ」

「そっか…」

容赦ない現実

この先が見えない不安

紫耀が隣にいない現実を、どう過ごせばいいんだろう

母は、私と紫耀を引き離して満足だと言う
それは当たり前の気持ちなんだろうけど、

私は本当に酷い人間なんだ…
母は私を待っていた
きっと私以上に苦しかったに違いない

きっと私は一番残酷で、下劣な人間なんだ

「今日の晩ごはんは生姜焼きよ～お母さん張り切っちゃう」

『…うん…』

窓の外をぼうっと見つめている私に母は眉をひそめる

「…A、変なこと考えてないわよね？まさか、あの人じゃないわよね」

母は私の両肩を揺さぶる
私は黙ったまま

「ダメよ、あんな奴のことは忘れなさい。
ストックホルムかなにか知らないけど、あんな奴がいい人な訳ないのよ？」

ダメだ、堪えられない

『あんな奴だなんて、言わないでよ…！何にも知らないくせに！彼は私のことを助けてくれたの！！』

「わかってないのはあなたの方よ！！」

呆れたようにため息をつくと、続ける

「もういいわ。佐藤さんから言うなって口止めされてたけど、
あなたの母として、言うわ。
あなたは、騙されていたのよ」

『…は？…騙されてた？何言ってんの？』

「昨日、取り調べで言ったのよ。
あなたがいい証言をすれば、その分罪が軽くなるから、だからあなたが好きになるように仕向けたって！」

畳みかけるような母の口調に体が固まる

『嘘…そんなの嘘……嘘つき…』

「嘘なんかじゃないわ。…ね？そういう奴なのよ、…ダメよ、A…」

"「A」"

頭の中で、彼が優しく私の名を呼ぶのが浮かんだ

笑うと四角になる口、切れ長の目、サラサラの髪の毛、私を抱きしめてくれる優しい腕と体温

違う、信じない

私が信じてるのは彼だけ

私が心から信じてるのは、彼の言葉だけ

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お話がいっぱいになったので移行しました♡
まだ続きます！
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