-S- loving you. (ページ9)

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＊＊＊

「……」

相手は殺人犯だ

そんな相手に救われたなんて思った私はもしかしたら気が狂ったのかもしれない

すると、起きあがったショウが、
ポケットから何かを取り出すと、私の口に近づけた

「…飴」

一瞬、何が起こったかわからなくて、
じっとしていると無理矢理口に飴を入れられた

甘くて、少し酸っぱい
レモン味の飴

「…泣くな…食ったら寝ろ」

ブロンドの髪から覗く綺麗な目からは
いつものあの冷たさはあまり感じなかった

…そのままショウは再び私に背を向けて、
眠りについた

口の中で溶けたレモンの飴が
いつまでも残って、なかなか眠りにつけなかった

.

目が覚めると、すでにショウは起きていて、
グレーのパーカーのフードを被り、
ベッドの下に座っていた

私が起きたことに気がついたようで、
起きろと言われた

だけど私のからだは思うように動かない

そんな私に黙って手を差し伸べてくれた

腕を引かれるまま部屋を出ると、
居間ではエヌとエックスがビール瓶片手にテレビを見ている

「…おっせぇよ～」

エックスが不満そうに言い放った

「…悪い、寝過ごした」

違う…寝過ごしたのは私のほうなのに

逃げようとした時もこうして庇ってくれた

この人の考えていることがよくわからない

「…それよりあんたら昼間から酒かよ。金にも限りがある」

「なんだぁ？たかがハタチのガキが俺に指図する気かよ？あ？」

「よ、よせってエックス」

「…俺の言うことが聞けないのかよおっさん」

その声に思わず震えた
ショウの声が今までにないほど低くて
その視線は鋭い

いつの間にか手は離されていて、
ショウはエックスの顔にナイフを突きつけていた

エックスは凍りついたかのように動かなかった

「お、おい、冗談だって、悪かったよ」

「…悪かった？お前らがここにいるのも俺のおかげだと思えよ？
…なんならここで殺してやってもええけど、？」

ショウの口角が少しだけ、弧を描く

「…ショウ、俺からも謝る。悪かったよ、許してくれ」

エヌが横から言う

「…次はないからな
いい加減酒は控えろ」

2人が恐怖に震えている

私も足が震えて、その場に座り込んだ

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