花言葉 ページ35
〜宏人side〜
Aは教会の近くの海に､
俺らを連れてきた｡
俺らの前を裸足でゆっくり歩くA｡
砂浜に足跡が付いては､
波が少しずつ消していく｡
海風が吹き抜ける｡
まだ短めの髪と､
柔らかい素材の服が､
風に揺れる｡
強目の陽射しが眩しそうに､
手を目の上に翳す｡
流れる雲の影が海面に写し出される｡
全てが絵になる...綺麗だった｡
逆にそれが怖かった｡
夢か...幻か...幻想か...
不意にAが振り返った
宏人「うん？」
A「なんでもない(笑)」
ﾔﾏﾄ「A｡
青い薔薇の花言葉､知ってる？」
A「不可能、でしょ｡」
ﾔﾏﾄ「昔はな｡でも今は違う！
夢は叶う!神の祝福!!奇跡!!
変わったんだ｡」
A「ヤマト...」
ﾔﾏﾄ「A...いや聖華！
聖華として､その青い薔薇と一緒に､
産まれ変われよ！
不可能じゃない！」
高校の時のヤマトを思い出した｡
ヤマトの変わりようは凄かった｡
無闇矢鱈にしていたケンカは止め､
学校にも通う様になって､
無免許だったバイクの免許を取りに行って､
学校が終れば､直ぐに何処かに向かう｡
煙草を吸った後に､
ミントのガムを食べ始めたのもこの頃｡
「どうやら本命が出来たらしい...」
でも､幸田兄弟を取り巻く女達が多過ぎて､
一体､誰が本命なのか､探しきれなかった｡
それが好都合でもあった｡
対抗組織は「人質」として女に牙を向ける｡
俺もそれを怖れた｡
＜愛する女＞が､対抗組織に浚われたら...
考えるだけで＜ゾッ＞とする｡
だから彼女を作らなかった所もある｡
ヤマトだって分かってた事だろうけど､
それでも彼女を作ったんだ｡
それが＜愛＞なのか､分からないまま｡
それが＜愛＞だと､自信が持てないまま｡
ヤマトの奥に潜んでいた＜愛＞を
呼び起こしたAは凄いのかも...
佐野さんは､そんな
Aの＜色んな愛＞を独り占めしたかった､
そうかもしれない｡
俺は､間違いなくAと＜愛し合えた＞。
ずっと一緒に居なくても､疑う事なく､
ただひたすらお互いに＜愛＞がある。
それをずっと信じていたし､自信もあった｡
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アヤコ | 作成日時：2017年11月20日 17時
