二人※ ページ5
「A、遊園地行こ」
『…え、今から!?』
「行きたいって言ってたでしょ?」
ほら、早く。と急かされて慌てて準備をする。
私のベッドの上で胡座をかいている亮は、幼稚園からの幼馴染みだ。
異性だと一番仲の良い、もはや家族のような存在。
今通っている高校は違うけど、こうやって二人で出掛けることはしばしばある。
…なのにこいつは。
二人きりで出掛けても、お互いの部屋に出入りしても、同じベッドで寝たとしても。
全っ然、意識していないんだろうな。
誰かと付き合ったりとか、人並みにそういうことはしてきたけど。
私はずっと…亮が好き、なのかもしれない。
でも、それは絶対に恋愛的な意味の“好き”になってはいけない。
はっきり自覚してしまえば、この関係が壊れてしまうから。
「遅いなーもー!」
『待っててよ、あとちょっとだから!』
まだ曖昧な感情のうちに、この想いを消してしまいたい。
.
「暑…溶けそう…」
『あ、ソフトクリーム売ってるよ?』
「食べよ」
即座にそう言って亮はすぐそこのお店へ買いに行った。
私はなんとか日差しを避けようと、屋根のあるベンチに座った。
休憩所のような所らしくて人は多いけど、吹き抜ける風が涼しい。
しばらく待っていると向こうから亮が歩いてきた。
手を挙げて場所を知らせる。
「ん」
『ありがと。何円だった?』
「いらないよ。そんな高くなかったし」
うわ、優しい。
亮は中々に頑固だから、ここは素直に奢ってもらっておく。
渡されたソフトクリームは淡い水色のラムネ味。
子供の頃からソフトクリームは絶対この味で、分かってるなと思いながら一口食べる。
『うまっ』
「うま、じゃなくて美味しいって言えよ。一応女なんだから」
『一応って…』
ほら、もうこの人の中で私は女じゃないんだよ。
…まぁそっちの方が良いのか。
ため息が出そうになりながらそう思っていたら、いつの間にか私のソフトクリームが一口分消えていた。
「うん、美味い。お礼に俺のもどうぞ」
『…あ、美味しいね。こっちも結構好き』
間接キスとか今更気にすることじゃない。
だから、心臓がバクバクと音を立てているのはただの気のせいだ。
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麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます〜!今回の更新もかなり日が空いてしまってすみません…。感想もいただけてとっても嬉しいです!更新は、どうか気長にお待ちください!(*´∀`) (2021年12月23日 8時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - こんばんは(*^^*) 夜分遅くにすみません。。。 かなりお久しぶりです。 更新ありがとうございます。 物語読みました。 続きが気になります。更新待ってますね。 (2021年12月14日 0時) (レス) @page35 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
麦(プロフ) - 游さん» ありがとうございます!ご指摘の部分は全て修正したと思います!苗字の表記の所、単純に私のミスでした…すみません。タイトルの「再開」はわざとで、「再会」との掛詞です!紛らわしくて申し訳ないです…。ご丁寧にありがとうございました!更新も頑張ります(*´∀`) (2021年8月11日 21時) (レス) id: c17c33a14a (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語短編で読みやすかったので一気に読んじゃいました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
游 - 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 ○ページ23のここの部分 「(名字)」とここの部分 名字)に話しかける口実が欲しくて、授業では寝たふりをして彼女を見ていた。 これも名字が無くて名字表記なのですが。。。 (2021年8月11日 2時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麦 | 作成日時:2021年4月11日 21時