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「あの…まだ、決定じゃないし、自分の中でもまだ迷ってることだから…その…」
「口外はしないよ！絶対！」
真っ直ぐに俺の目を見て言う先生。
この目を見ると、信じていいかなって思える。
「あの…俺、大学、いこうかなって思って…」
おずおずと今の気持ちを話すと、
先生は目をぱちくりさせて、
次第にキラッキラのオーラが見えてきた。
「ええ！いいじゃん！大学入ると世界広がるし、すっごくいいと思うよ！」
ガタンと音を立てて勢いよく立ち上がると、俺の手を握りブンブンと振り回した。
…喜んで空回りしている。
子供みたいな先生に笑みがこぼれる。
「悩みってそれ？いいと思うけどな〜」
「あ、ちがくて。あの…1人のメンバーに勘づかれてたみたいで。それで…」
「え…？なに、もしかして薮、熱愛！？」
「…は？」
自分から吃驚するくらいの間抜けな声が出た。
先生は何を勘違いしてるんだ。
俺に彼女なんているわけないだろ、
女の子と関わってないのに。
「うわマジか、それは面倒なことになったな…。てか相手誰！？どんな子！？最近の高校生ってませてんな！」
「ちょ、待って先生」
次から次へと妄想をふくらませて話を続けていく先生にこちらも戸惑ってしまう。
「熱愛じゃないですからっ！」
初めて先生に向かって大きな声を出した気がする。
先生は驚いて目を大きく見開いた。
もう、勝手に話進めないで。
「なんでこの話の流れで熱愛になるんですか…。だから、アイドルを辞めようかなって思ってること、勘づかれてたんです。あと多分、大学に行くことも。」
「え、やめる…アイドルを？」
「ずっと辞めようかなって思ってたのは事実だし…。でも今の段階ではどっちを取るか選べてなくて。あれだけ嫌だった活動も最近は…」
言葉を詰まらせる俺に、最近は？と続ける先生。その声が優しくて、その目が、その表情が優しくて、もう隠すことなんてないなって。
「最近は…、その、先生に…活動を見てもらいたくて、ちょっと、頑張れてた…から…」
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作者名：。 | 作成日時：2020年10月13日 22時
