先生とぼく (ページ24)

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しばらくして光くんが戻ってきた。
単語帳を片手にお弁当を食べる薮くんを見るなり光くんは眉を細めた。

「薮さあ、単語の勉強よりも先にツアーの段取りとか確認したら？さっきもミスばっかだったじゃん。」

注意をする光くんに薮ちゃんは、んーと生返事。そんな生返事は光くんをさらに怒らせたようで…。

「いい加減にしろよ！」

光くんは薮ちゃんの単語帳を取り上げると、
それを床に叩きつけた。

「ちょっ、光くん…！」

「なんなのお前。初のアリーナツアーなんだぞ？もっと気合い入れろよ！」

薮ちゃんは床に叩きつけられた単語帳を拾い上げると、何も言い返さずにまた勉強を始めた。

「おい薮。無視してんじゃねえよ。」

「…」

「…っ、てめぇまじでいい加減にしろよ！！」

光くんが薮ちゃんに掴みかかった。
初めて見た。こんな光くん。
光くんは薮ちゃんのこと大切に思ってて、
暴力なんてもちろん振るったこともなかったし、小さな喧嘩はあってもこんな乱暴なことしたこと無かったのに。

「光くん落ち着いて！」

とにかく2人を離そうと光くんの腕を引っ張るも、鍛え上げられたその身体はビクともしない。それはもちろん薮くんも同じで、何とか光くんを押し返そうとしているが、全く敵わない。

「は、なしてっ…！」

「行くなよ、薮。行くな。」

「…な、に。」

「…やめんなよっ！！！」