先生とぼく (ページ25)

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最近、仕事の合間に薮が勉強をしている事が増えた。少し前はぼんやりしてるだけだったのに、何処か生き生きとしていて、勉強も楽しそうにしていて。

心のどこかで思っていた。

薮はいつか辞めてしまうんじゃないかって。
辞めたいって考えているんじゃないかって。

デビューしたての頃、グループが出来たばかりの頃は3人で同じ方向を向いて、一致団結して頑張ってきた。しばらくして薮がぼんやりし始めた。そして最近は他に目標が出来たと言うかのように勉強に熱心になっていて。

不安でいっぱいだった。

だって、薮が居なくなったらUNIONは成り立たない。それは大ちゃんにしても、俺にしても同じ。この3人だからこそUNIONが成り立つわけで。誰か一人欠けたらUNIONじゃない。

薮は自分なんか大したことないってよく言う。俺や大ちゃんと違って何も無いって。でも、俺にとって薮は本当に凄い人で、尊敬するアイドルで、目標とする人なんだ。

頼むから、行かないで。

「お前ら何してるんだ！」

大きな声を上げて楽屋に入ってきたのはマネージャー。薮に掴みかかっている俺を急いで引き離した。

「なんだよお前ら…。珍しいな。
薮、怪我ないか？」

「大丈夫です…」

「光、どうしたんだよ。なにがあった？」

「何にもないです。すみません。」

ぶっきらぼうに答える俺を不安げに見つめてくる薮の目線に耐えられなくて、何も言わずに楽屋を出た。