先生とぼく (ページ20)

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夏休み。人が少ない校舎。
なるべく他の生徒に会わないように
慎重に階段を上がっていくと、
上の方で相葉先生と女子生徒の声がした。

「ねえ先生！薮くんと補習してるってホント～？ずるいよ2人きりなんてーっ！」

「薮くんとどんな話するの？連絡先とか知ってるの？」

「薮くんに文化祭参加するように言ってくださいよ～！ドラキュラの仮装して欲しいのっ！」

「あーもーっ！うるさいぞっ！
目の前にこんなにイケメンの先生がいるのにアイドルの話ばっかり！先生ならドラキュラでもメイドでもなんでもやるのにっ！」

俺の事で質問攻めにあっている先生。
キャピキャピと高い女子の声が煩い。
先生はどの質問にも答えずに、
冗談を言って誤魔化している。

もしかして、いつもこんな風に質問攻めにされてるのかな？俺のせいで…。

「ほーら、部活だろお前ら。さっさと行きなさい！」

「はあ～い」

「ばいばいせんせー！」

「ったく！敬語を使いなさい敬語をー！」

女子生徒達は俺がいる階段とは反対の東階段の方に向かったらしい。
安堵の溜息をついていると今度は違う誰かが降りてきて、顔を隠すために咄嗟に俯くと、あれ、やぶ？と優しい声。

「あ…せんせ…」

「なんか元気無い？とりあえず教室行くか」

ほんの一瞬俺の顔を見ただけでそんなことを言えてしまう先生はすごいと思う。
鈍感そうに見えて、鋭いというか…
というよりも、俺が分かりやすいだけなのかな？