ヒモの彼氏とヒモノの私と、 (ページ23)

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また樹くんページ23

「…で、北斗の前では余裕そうな顔してたけど実際のところは嫉妬でおかしくなりそうだ、と」

「いわないで…」

前回の飲みからそんなに期間も空けずに
また樹くんを呼び出してしまった。

聞き上手な樹くんに、
あれもこれも話すうちに
お酒はどんどん進んで今はもう…何杯目だろう。

「そのへんにしときなよ、今日ペース早いよ」

「だって…」

「もう十分酔っ払ってるでしょ」

酔いのせいにして本音を話せるくらいには、
って樹くんが目の前にお冷のグラスを出してくれる。

「…私、北斗に捨てられたらどうしよう」

机に突っ伏したまま口から零れたのは
なんとも情けない、弱々しい声だった。

「こないだまであんなに愛されてる自慢してきたくせに」

「それとこれとは別」

「…あんだけAさんに尽くしてた北斗のこと疑ってるわけ？」

「尽くしてたって…そういうつもりじゃない、けど…」

「北斗のこと、信じてやってよ。あいつ、人から必要とされることに飢えてっから」

Aさんと一緒な、と付け足して
樹くんは片眉を器用にくいっと上げた。