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「北斗、北斗だよね！？」
美穂、と呼ばれたその人は
大きく開いた目がどんどん潤んでいって
震える足取りで一歩ずつ近づいてきた。
「…来んな」
隣で立ちすくむ北斗の口から出たのは、
聞いたことないくらい低く、ドスのきいた声。
「A、行こ」
立ち止まった美穂…さんに背を向けた北斗に手を引かれて
そのまま改札の中に吸い込まれて行った。
「…ごめん、今日は帰りたい」
ホームに降りてすぐやってきた電車に乗って
最初に口を開いた北斗はそう言った。
そんなの、嫌だなんて言えるわけないし。
「…いいよ、でも次は北斗の奢りね？」
ふざけてそう言ってみても
北斗の険しい表情に変化はなくて
ただ気まずい雰囲気のまま、最寄り駅まで電車に揺られた。
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作者名：はぴ | 作成日時：2020年2月29日 23時
