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♡
女の子の声を聞いて振り返ると、ヴィランが待ってましたと言わんばかりに私の腹に蹴りを入れた
「かはっ……！」
髪を掴まれて放り投げられ、柱に勢いよくぶつかった
「ぐうっ……！！」
「どうしたの？これくらいじゃ足りないよ、もっと楽しませてよ…！」
ヴィランはゆらりゆらりと大きめのナイフを構え、近づいて来ている
対して私は痛みが酷すぎて立てない
…くそっ、どうしたら…！
「それじゃ、あの世に行ってらっしゃい」
残る力で結界を張っても割られ、クリスタルも破壊された
もうダメだ……！
「死」を覚悟した、その時だった
「_____よぉ、俺の弟子に手出ししようなんざよく考えたこったな」
その声とグサリという鈍い音は、同時に聞こえた
恐る恐る目を開いてみると、ヴィランのナイフは椿さんの左胸を貫いていた
「何しやがる、離せ…！」
「あ？これから礼してやろうってんのに、逃げるたァ卑怯だよなァ？」
椿さんはガッチリとヴィランの腕を掴んでいた
その間にも、刺された箇所からは血が流れている
「つ、椿さ_____！」
「___守りてぇんなら、立て！！！！」
椿さんは私に背を向けたまま、そう叫んだ
「！！」
「どんなに苦しくても這いずってでも立ち上がって守れ！！それが『結界ヒーロー』の名を背負う輩の責務だ！！！」
「！！」
「怪我をした？痛ぇ？知らねぇよ！！！他人の命かかってんだよ！！軽々しく「守りたい」って言うんじゃねぇ！！上辺だけなら誰だって簡単に取り繕うことなんてできんだよ！！行動で示せ！！イージス！！」
…そうだ
立たなきゃ
守らなきゃ
あの人たちを、！
「…っ、すみませんっ…！！」
溢れ出た涙をぐいっと腕で拭い、痛む腹を抱えながら女の子と逃げ遅れた人たちの元へ行き、そのまま下の階へと誘導した
「____そうだ、それでいいんだよ」
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作者名：櫻ノ院 小汰楼 | 作成日時：2020年4月9日 21時
