第六話 ページ8
いつも通り、食堂のおばちゃんの美味しい朝ごはんを食べた和泉姉妹は、学園長室へと赴いていた
外出すること、しばらく学園を空ける事を伝えると、事務員の小松田が外出届と出門票を持ってきた
サインを求める時の彼は、一番輝いている…と思うようになってきた。学園長は「Aも立派な忍術学園の一員じゃのう」と大きな声で笑った
釣られて、Aもクスクスと笑う。そして、同時にこの場所に認められているような気がして嬉しさも感じていた
「では、行って参ります」
「和泉先生、此花ちゃん！」
ちょうど、出発しようとした時に食堂のおばちゃんが急ぎ走ってやって来た。手持っているのは笹の葉に包んであるおにぎりらしく、「途中でご飯として食べてちょうだい」と手渡してくれた
二人でおばちゃんから貰った弁当を手に持ち、忍術学園を発った
もう季節は夏。ジリジリと陽の光に照らされながら、姉妹は故郷の摂津の国へと歩いていた。Aの白い頬には、時々汗の雫が滴っていた
木陰で休んでおばあちゃんのおにぎりを食べたり、時には盗賊とも出会ってしまった。戦わず、撒くことが出来たが
大変な事はあったが、此花にとって良い経験になることを祈るばかりだ
ただひたすらに歩いていると、ついにAと此花の故郷へと着いた
だが、周りに家は無い。あるのは、戦乱の爪痕だけだ
未だに撤去さえされない家の残骸と、白骨化が進み脆くなっている骨の中を、既に目的地が決まっているかのように真っ直ぐ進む
辿りついたのは、卒塔婆が無造作に差し込まれた場所。卒塔婆と言っても、上等なものではなく近くの木の板に文字を書いただけのものだ
卒塔婆に近づくにつれ、Aの視界はだんだんとぼやけてくる。呼吸をするのもままならないようになり、遂にAは顔を覆い膝から崩れ落ちた
「父上母上っ……兄上…！！」
それ以上は言葉にならず、むせび泣くAの姿は痛々しい
黙って見ていた此花も、静かに涙を流した
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つあ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。ドキドキしながら読ませて頂きました！素敵な作品をありがとうございます！！ (2022年4月10日 21時) (
レス) @page32 id: 1b35df4618 (このIDを非表示/違反報告)
花太郎(プロフ) - 幼稚園並みに幼い絵を描く自分からしたら絵が上手ですね 羨ましい 漫画で好きなキャラも書けません コツとかあるの？ これからも応援していきます (2015年9月8日 21時) (レス) id: 558271d4dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦浦麗音 | 作成日時：2015年7月26日 23時
