第二十一話 ページ23
帰りの道中、きり丸と此花の二人は赤ん坊をあやしながら楽しそうに歩いていた。だが、大人の二人はそれと反対に言葉を交わす事無く歩くだけであった
四半時歩いた頃だろうか、向かい側から笠を被り杖を持った若い夫婦がやって来た。まさに旅の帰りというところだろう
「子守を頼んでいた方ですね。お待ちしておりました、この子の両親です」
「一日も預かっていただいて…本当にありがとうございました」
笠を外し、ぺこぺこと頭を下げる赤ん坊の両親。きり丸は「いえいえ」と目をお金にしながら両親へ赤ん坊を返した
きり丸はアルバイト料を貰って「まいどありー！」とアヒャアヒャと笑った
赤ん坊は母親に掴まると、嬉しそうな声をあげて笑う。そんな様子を見てAは目を細めて微笑みをこぼした。その瞳の奥には、寂しさと羨ましさを湛えているように見えた
親子はまた礼を述べると、去っていった
Aと此花も一旦ここでお別れだ
「私達も大変お世話になりました」
「ありがとうございました。きり丸君、土井先生」
姉妹で深々と頭を下げる
「いやいや、さっきの子の面倒沢山見てもらいましたし、お礼を言いたいのはこちらの方です」
「そうそう」
「きり丸君、あまり無理してアルバイトしないように」
「わーってる、わーってる！休暇の間に何とかするって」
「それは私の手伝い付きでだろうが！！」
「……では、二人共また新学期に会いましょう」
姉妹は手を繋ぐと、空いている手で手を振り帰路へと就いた
段々と遠く小さくなっていく二人。見送っている時に、Aが一度振り返った。また前を向き直ったが、どこか名残惜しそうであった
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つあ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。ドキドキしながら読ませて頂きました！素敵な作品をありがとうございます！！ (2022年4月10日 21時) (
レス) @page32 id: 1b35df4618 (このIDを非表示/違反報告)
花太郎(プロフ) - 幼稚園並みに幼い絵を描く自分からしたら絵が上手ですね 羨ましい 漫画で好きなキャラも書けません コツとかあるの？ これからも応援していきます (2015年9月8日 21時) (レス) id: 558271d4dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦浦麗音 | 作成日時：2015年7月26日 23時
