第十六話 ページ18
窓の間から陽の光が漏れる。朝日と鳥達のさえずりによって、Aは目を覚ます
隣に向くと、川の字になって寝ている半助、きり丸、此花の姿があった。頬は思わず緩んでしまう
反対側には赤ん坊が居り、その子もまだ寝ていた
「起きなきゃ…」
未だに覚めない頭を起こす為に、Aはむくりと起き上がり井戸へと歩いて行った
Aは朝の冷たい水によって段々と冴えてきた頭で次は何をしようかと考えていた
──水瓶に水を汲んで、ご飯を作って
…これではまるで家族のようだ。夜の「嫁入り前の女性」という言葉を思い出し、顔がみるみる紅潮していくようだ
思春期の少女ではあるまいし…はしたない！と顔を必死にゴシゴシと洗う
「あら、見かけない顔ね。新しい人？」
顔をあげると中年の女性が立っていた。この長屋に住む人だというのはわかるが、どこに住んでいる人なのだろう
女性の後ろにある足跡を辿ると、半助宅の隣の家に続いていた
つまりは、隣人だというこだ
「おはようございます」
急いで顔を拭き、深々とお辞儀をする
「私、和泉Aと申します。昨日、土井さんの所に…」
「もしかして、半助の好い人？！」
グイッと食いつく女性に、驚きたじろぐ。好い人に間違われ、ますます顔は紅潮してしまう
「隣のおばちゃん、違うよ」
「あら、きり丸。どういうこと？」
「和泉先生は、土井先生と同じ教師してんの。昨日に色々あって、泊まってたの」
「なぁんだ…そうだったの」
残念そうに項垂れながら、隣のおばちゃんは続けた
「昨日の夜更けに、隣から赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたらもしやと思ってたんだけどねぇ…」
「そっ、そんな…！違います！」
全力で否定するA。きり丸は横目で「土井先生も可哀想に…」と言いたげだ
「あの人は私なんかには勿体無いくらいの凄い人で…！あ、えと……失礼します、隣のおば様！」
「おほほほほ…」と不自然な笑い方をしてAは足早に井戸から立ち去って行った
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つあ。(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです。ドキドキしながら読ませて頂きました！素敵な作品をありがとうございます！！ (2022年4月10日 21時) (
レス) @page32 id: 1b35df4618 (このIDを非表示/違反報告)
花太郎(プロフ) - 幼稚園並みに幼い絵を描く自分からしたら絵が上手ですね 羨ましい 漫画で好きなキャラも書けません コツとかあるの？ これからも応援していきます (2015年9月8日 21時) (レス) id: 558271d4dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：錦浦麗音 | 作成日時：2015年7月26日 23時
