検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:32,524 hit

全部抱きしめて * Daisuke.S ページ13

上手くいかない。今日はツイてない日だ。



収録で思うようにいかず、俺にしては珍しくそのテンションをそのまま稽古に持ち込んでしまった。
メンバーには心配されるわ、マネージャーには注意されるわ、終いには振付師さんには呆れられていたと思う。それでも切り替えることが出来なくて、テンションは下がってく一方だった。


すみませんでした、と一言、稽古場を後にする。


こんな自分が情けない。収録はまだしも、稽古には絶対に持ち込んじゃいけなかった。ムードメーカーなんて言われてるし自分でもそうだと思ってたけど、こんな時にはグループのムードを悪い方に持っていってしまう自分の性質を恨んだ。





家に帰ると明るい廊下に見慣れた靴。いつもなら飛び跳ねたくなるほど嬉しい光景も、今日は正直見たくなかったかも。



「大ちゃん?おかえり。」


いつもデカい声で帰宅を知らせる俺が玄関入って黙り込んでるから、変に思ったんだろう。Aがリビングから出てこちらへ歩いてきた。
なんだか顔を見れなくて、彼女の足元をじっと見つめる。今日は綺麗な水色の靴下だ。


「大ちゃん、?、どうしたの、?」


こんな俺、知らないでしょ。いつもテンション高くてうるさいくらいにしゃべって、それが俺だから。ちゃんといつも通り振る舞わなきゃ、と頭では思いつつも、できない。いつも通りじゃなくてもなんか言わなきゃと思うけど、どうしたらいいのかわからない。

彼女の綺麗な髪が視界にチラチラと出入りする。きっと戸惑ってるんだ。こんな俺に。彼女のことまで困らせて、自分でも何がしたいのか分からない。



大「っみないで、」



彼女が俺の顔を覗き込むから咄嗟に顔を背けてしまった。
君にはこんな顔見せたくないんだ。こんな、情けなくてダサくて暗い顔、君には見られたくないんだ。


君を拒絶したのは初めてかもしれない。そう思うと急に後悔がおしよせてきた。俺は基本、なんでも受け入れる姿勢で生きてるし、そう心がけてる節もある。拒絶される寂しさを、悲しさを、痛みを知ってるから。

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (50 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

エマ(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございます! (2020年6月26日 10時) (レス) id: 33d9c37471 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:エマ | 作成日時:2020年6月26日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。