やわらかな午後に遅い朝食を【短編集】 (ページ2)

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程なくして彼女は仕事に行った。自分で雨の予報をしてたわりには傘を忘れそうになって、靴を履いた瞬間、あ、折りたたみ傘！！と叫んで部屋に逆戻りしてた。

天気予報はチェックしないのにちゃんと晴れの日に洗濯物を干したり、雨の日に折りたたみ傘を持って出たりできるのは、毎朝ベランダに出てトマトと会話しながら、実は空や空気とも会話してたのかもしれない。俺ってまだまだ彼女のこと知らねんだな。

全部知ってるのがいいってわけじゃないんだなとも思う。一緒にいる中で新しい面を知っていく楽しさみたいなものを感じてるから。

俺は午後からだから、彼女を見送ったあとはゲームしたりゴロゴロしたりして時を過ごした。別に昼前まで寝てたっていいし、彼女と暮らし始める前はそうしてた。今となっては朝から晩まで仕事してる彼女とゆったり話せる時間があるのに、寝てるなんてありえない、とまで思ってる。生活習慣改善されちゃった。

家を出る前、ふとベランダに目をやったらなんと、雨。

辰｢まじか、、、｣

下手な天気予報よりも当たるかもしれないな、と口角が上がった。数時間前のその小さく穏やかな背中を思い出す。一応トマトが屋根の下に入ってるか確認した。よし、ちゃんと雨ざらしにならないようにしてある。

辰｢おまえら、愛されてんな。｣

俺の変化は、君のせい。