14話 ページ14
「………秋にぃ？」
かけた声は震えてなかっただろうか。
無視して帰ることだってできたのに。
身体が勝手に動いてた。
「……もしかして……A？」
声をかけたのは数年ぶりに会う年の離れた親戚のお兄ちゃん。
その前に座ってる人物からあたしは目が離せない。
「まじでちぃなん！？」
驚いてる秋にぃが可笑しくてつい笑ってしまった。
そんなあたしに彼は初めて会ったかのように振る舞う。
きっと彼にとってはあたしは何百人、何千人の中の一人で、忘れられた記憶の中にいる。
「そんな謝らんといて？」
優しい顔でこっちを見る彼は変わらない。
そう思えるのは、きっとあたしだけがあの頃に取り残されてるからだろう。
「Aも一緒に呑もや！」と秋にぃの提案にちょっと焦ったけど、断らなかったのはまだこの場にいたかったから。
諦めようと努力したこの数年はたった一目会っただけでこうも簡単に崩れていく。
あの頃想いを馳せた初恋の人と、こうしてお酒を交わすとは思いもよらないことだった。
「Aちゃん、って呼んでええかな？」
そう遠慮がちに訊く。
会うのが初めてじゃないことを知った彼はすごく驚いていて、必死で思い出そうとしてくれてる。
いいや、もう。
彼が思い出してくれた。
また会えた。
それだけでこんなにも幸せなんだから。
「連絡先交換しよや！」
あたしの前に座る河井さんからそう言われた。
河井さんは芸人さんだとさっき知った。
彼のことを見るのが辛くて避けていたお笑い。
疎いあたしはほんと失礼極まりないはずなのに、
河井さんは笑って接してくれた。
いろんな話をして楽しいはずなのに、
目で追ってしまうのは、彼のことばかり。
呑み会もお開きになって、タクシーに乗るように言われたけど、本当にすぐ近くなのにそんな贅沢できない。
大丈夫というあたしを彼はすごく心配そうに覗き込む。
「Aこの辺住んでるんやろ？賢ちゃんの家も近いし、送ってもらい？」
怒ってる秋にぃには逆らえず、最悪の展開。
何なんだろう。全てが彼を好きになるようにできてるみたいだ。
「じゃあ、行こか」
先を歩く彼に笑ってついていく。
川西さん……、
川西さん……、
賢ちゃん。
あの頃呼んでいた名前はすごくしっくりときた。
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ちゅん(プロフ) - リタさん» リタさん。かなり前にコメントくださってたのに返せなくてごめんなさい。河井さんが実は重要な人物だったりします＾＾更新しましたので読んでくださると嬉しいです。 (2019年9月24日 21時) (
レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - なむなむさん» だいぶ前にコメントくださってたのに返さなくてごめんなさい。嬉しいコメントありがとうございます^ ^更新しましたので読んでくださると嬉しいです。二人の行く末を見守ってください＾＾ (2019年9月24日 21時) (レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
リタ - めちゃめちゃキュンキュンします！健気！でもゆずるくんと今後どうなるのかも気になるし胸が痛くなるけど、それ以上に川西さんがかっこよすぎます更新待ってます(>_<) (2019年2月7日 0時) (レス) id: becfb912c1 (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ - 更新待ってます！めちゃくちゃキュンキュンして早く2人の恋がかなってほしいです！ (2019年1月6日 15時) (レス) id: e31a65da9f (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - おこめさん» おこめさんごめんなさい〜(T . T)止まってますがちょっとずつ貯めて更新を企んでます^_^365日ばかりに力が入ってしまい反省です(T . T)更新頑張ります！また遊びに来てください(^^) (2018年12月9日 14時) (レス) id: 722850fb8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゅん | 作成日時：2017年12月19日 9時
