その笑顔はいつか ページ19
柏木さんの言葉に頭がついていかない。
やっと出せた声はしどろもどろで、まぬけだった。
『……、……い、いつから？』
「あたしが横尾くんのこと好きって訊いた時かな」
『ごめんなさい！……あたし、自分でもバカだと思うけど、ようやく気づいたっていうか…』
「うん、バカだと思う」
頭を下げたあたしを柏木さんの冷たい声が射す。
それでも、それでも逃げないって、
もう、決めたんだ。
『本当にごめんなさい、嘘ついて…………でも、』
「……………」
『横尾くんを好きになったことは……謝らない』
「………………」
『……二人の仲を引き裂こうとは思ってないです』
ふぅ、と柏木さんが溜息をつく。
「�盒兇気鵑董▲�ソ真面目だね」
顔を上げると困ったように笑う柏木さんと目があった。
「………………あたし、横尾くんと付き合ってないよ？」
『……………え、…でも……噂が…』
「噂は所詮噂だよ。それにわざとだから、�盒兇気鵑妨�せつけるためにわざとしてたから」
「あたしずるいから、いい子じゃないよ」とニコッと笑ってて、まるで鈍器で殴られたように衝撃が走る。
「それにね横尾くんの気持ちにも割とすぐ気づいた。だって横尾くん……�盒兇気鵑里海箸个�り見てるんだもん」
そう言って哀しそうな笑顔に胸がギュッと痛んで、
それと同時に横尾くんへの想いがぶわっと再熱する。
「�盒兇気鵑辰徳把召犬磴覆い鵑世發鵝�意地悪したくなっちゃった」
柏木さんはさっきより少しだけあたしに近づいて、教えてくれた。
大きな瞳が、少しだけ揺れていた。
「横尾くんには、きっぱり振られたよ…あの後夜祭の日にね」
『……柏木さん』
「………行って、さっき昇降口ですれ違ったよ」
『柏木さん……っ、ありがとう！』
頭を下げて、前に走り出す。
小さい声で柏木さんが「ほんとムカつく」と言うのが聞こえた。
柏木さん。
ごめんなさい。
ズルくて卑怯なのはあたしの方です。
こんな形でなければきっと、あなたと話すこともないまますれ違ってた、違う世界の人。
でも、あたし少しだけ、
柏木さんのことも好きになったよ。
そう言ったらきっと柏木さんは怒るんだろうな。
でもきっと、あの可愛い笑顔で怒ってくれると思うんだ。
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作者名：ちゅん | 作成日時：2017年2月21日 0時
