この想いに蓋を ページ14
「………よお、」
『……横尾くん』
後夜祭も終わってすっかり暗くなった校外に出ると横尾くんがいた。
彼とはいつの間にか一緒に帰る習慣みたいなのがあった。
いつも勝手にあたしを連れ出して、
勝手に隣に並んで、勝手にあたしを送るから。
横尾くんはいつもこっちの気持ちなんかお構い無しで告白してくるから、
最初はめんどくさかったのに
……調子、狂ったんだ。
「…………仲直り、できた？」
『…っ、………』
横尾くんの言ってることが胸を締め付けて、言葉がでてこない。
淳とのことを誤解してるんだって分かった。
「なんだよ……好きな人がいるなら、さっさと言ってくれたら…」
『…さっきは、ごめん！……それから、今までいっぱいいっぱいごめんなさい』
「………………」
『……でも、あたし、……』
「横尾くん！！」
横尾くんの言葉を遮って思ってること全部言おうと思ってた。
だけど、嬉しそうに駆け寄る柏木さんをみたら、
言葉が、ひっこんでしまった。
「……なに？」
「………これから皆で打ち上げなんだけど、横尾くんも行かない？」
不安そうに横尾くんをみる柏木さんと、
ちょっとだけ目があった。
「…………�盒兇蓮��盒兇發い�だろ？」
横尾くんはちょっと面倒くさそうに眉を寄せて、
何故かあたしの方へ振り向く。
柏木さんは泣きそうな眼をしてた。
『あたしは……いい、行かない』
『じゃあね』と行って帰ろうとするあたしの腕を横尾くんが掴んだ。
そこから熱をもって、横尾くんに伝わりそうで、
…怖かった。
「�盒供◆腸兇笋辰僂蝓帖諦盒兇里海函帖�
“好きだよ”
“俺と付き合えば？”
“俺、柏木とは付き合わないよ”
横尾くんが何度も何度も言ってくれた言葉が、
あの日の淳と重なる。
“………ごめん、好きな人ができた”
『……横尾くんのそれ、嘘っぽい』
「………………」
『だからもうこういうの…っ、』
こういうの困る。
そう言おうとして振り向くと、
いつもみたいな不機嫌な顔はそこになくて、
苦しそうな顔をした横尾くんがいた。
「そっか、………ごめんな」
それだけ言うと横尾くんはあたしとは反対方向へ歩いていく。
その背中を見ないように、必死で家までの道を走って帰った。
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作者名：ちゅん | 作成日時：2017年2月21日 0時
