23曲目 葬送曲 ページ23
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────彼はひどく風変わりな青年だった
「 前言ってた指名手配犯匿ってるとか思ってな 」
「 あはは、私そんな度胸あるわけないじゃないですか 」
「 そうか?結構昔からAは肝座ってるほうだと思うけどな。まぁ、ほとんど有り得ない話だしな。そういえば、墓参りたまに行ってるのか? 」
「 今年はお父さん家に来るので行けるかもしれないです 」
私は三ツ谷先輩が中学卒業する頃、私は母を病で亡くしている。当時、家族仲も良かったので相当ショックを受けていた私は高校を卒業して実家を離れるまで毎年お墓参りに来ていたけど、大学や働き始めてからというもの、中々行けずにいた。
食事を終え、片付けを済ませ三ツ谷先輩が帰り支度を始めた頃インターホンが鳴った。すぐに出迎えに行くと、警察官がそこにいた。思わず身が強ばり、表情が固まる。
「 突然すみません、近くで暴行事件が起きましてお話をお伺いしたいのですが、よろしいでしょうか? 」
私が想定していた最悪の言葉はその人たちの口から紡ぎ出されることはなく、全く見当違いの話が持ち出された。半間をここに匿っていたことがとうとう…と頭をよぎったけれど、幸い違ったようだった。
「 今はお一人ですか? 」
「 今は仕事の先輩が来てます 」
「 なんかありました? 」
ぽん、と肩に手を置かれ、庇うように私は三ツ谷先輩の背中に隠される。安心感を感じて、水を得た魚のようにやっと落ち着いた呼吸が出来た。その後は、三ツ谷先輩が対応して警察官は帰った。
「 大丈夫か 」
三ツ谷先輩が私の顔を覗き込み、宥めるように背中をさすってくれる。ハッとして、すみません、と声を上げて三ツ谷先輩から距離をとる。すると、三ツ谷先輩は何故か少し寂しそうな顔をする。
「 少しは頼っていいんだぞ 」
「 え、……っありがとうございます… 」
三ツ谷先輩は私に背を向けて、靴を履いてそろそろ帰るんだなってその背中を見つめる。三ツ谷先輩がふと、何かを思い出したようにあ、と声をあげた。
「 俺と飲みに行ったときのこと、Aは覚えてないんだよな。Aが酔っ払っての冗談なのかは本気なのかわかんねぇけど、中学んときから俺みたいな男がタイプって言ってくれたの俺本気にしてるんだけどさ、あれって冗談? 」
三ツ谷先輩の言葉に理解するには体感約1分程の時間を要した。いや結局理解出来なかった。
「 …へ 」
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愛之助(プロフ) - 凛愛さん» 疲れましたわ〜🥹 ありがとうございますわ〜😭またなにか書けたらいいな…😌 (2022年10月13日 23時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
凛愛(プロフ) - 完結おめでとうございました〜❗️無事死神と踊りました〜❗️一からまた読み直します更新お疲れ様でした🥹 (2022年10月13日 6時) (レス) @page31 id: 1a57349a51 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - ha0824duさん» 初めまして〜🤍それはよかったです😭😭ありがとうございます!完結まで頑張ります〜〜💦💦 (2022年9月5日 2時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
ha0824du(プロフ) - 初めまして!!私の推しor推しなので最高にどっきゅんうっふんしてます(*´◒`*)⭐︎これからも応援してます!♡ (2022年9月3日 22時) (レス) @page23 id: 0233a38cc7 (このIDを非表示/違反報告)
愛之助(プロフ) - 河谷さん» か、…感謝…🤦♀️🤍 今度ドカッと更新するつもり😌✨ 私こそだい゛ずぎい゛い゛ (2021年11月10日 20時) (レス) id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛之助 | 作成日時:2021年10月28日 8時