28 JN ページ28
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昔の僕は、どちらかというと内向的な性格だった。
地味でパッとしなくてメガネをかけてて、
厳しく育てられていたせいか、暇さえあればどこにいても本を読んでいるような、そんな子供だった。
そこに僕の家のことも相まって、幼稚舎に入った頃は誰も僕に話しかけてこなかった。
僕の友達は物語の中の登場人物だけ。
それ以上はいてもいなくても同じだと、あの時はそう思っていた。
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僕に初めての友達ができたのは、僕が7歳の誕生日を迎えた日のことだった。
僕の誕生日会という名目で開催されたパーティー。
当然僕が持て囃されるのは最初だけで、
実際には父さんと、関わりのある企業同士の交流みたいなものだった。
周りには誰もいなくて、主役の席にポツンと座らされた僕は、寂しさを紛らわすかのように目の前にある豪華な料理を食べ尽くしていた。
だけど、いくら待っても一向に戻ってこない両親を一瞥し、
僕はそのパーティー会場から逃げ出したんだ。
広いホテルで、子供の僕に右も左も分かるわけないのに走って走って、
かすかに聞こえてきたピアノの音に導かれてたどり着いたのは、ホテルの横にあった教会だった。
罪悪感よりも好奇心の方が勝っていた僕は、躊躇することもなくその扉を開けた。
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