【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅲ (ページ5)

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＿＿＿ダブリス。

師匠夫妻が営んでいる精肉店のあるラッシュバレー近くにある街。私達兄弟は今、その店の前にいる。“MEAT”と書かれた看板を掲げるその店は、一見普通の精肉店に見えるが私達には魔王城を前にしているのと変わらない。

「―――とうとう来ちまったなぁ…」

「『うん…』」

「……師匠…留守だといいなぁ…！！」

「『うん…！！』」

地震が起こりそうなほど三人でガタガタと震える。OPENと書かれた扉に手をかける勇気がなかなか出ない。

「へいらっしゃい！！」

「『「ぎゃあああ！！」』」

三人で店頭をウロウロしていると、突然後ろから大声をかけられた。
腰を抜かして勢いよく振り向くと、見覚えのある顔がこちらを覗いている事に気が付く。肩に袋を担いだたくましい身体の男性＿＿＿＿メイスンさんだ。

「あれー？エドワード君？ひっさしぶりぃ！」

「メイスンさんだっけ？こんちわ…」

「あっはっはー！すっかり大きくなって！」

相変わらずテンションの高い彼に頭をばすんばすん叩かれながら翻弄されているエド。満足したのか、エドの頭を軽く撫でると、メイスンさんは次にエドの近くで座り込んでいた私へ視線を移した。

「あ、もしかしてAちゃん？こんなにべっぴんさんになって！それ眼帯？かっこいいねぇ！」

『は、はあ…どうも』

な、撫で方が雑！！
メイスンさんのテンションについていけずされるがままに大人しくしていると、彼は最後にアルへと興味を移した。

「こっちの鎧の人は？」

「弟のアルフォンスです」

――二人の間に、暫し沈黙が流れる。
当然だ。昔からのアルの知り合いでも一目見ただけでは誰だか分からないだろう。

「………すっかり大きくなって…」

「はぁ」

すると、メイスンさんは何かを思い出したように手を叩く。メイスンは師匠に会いに来た私達を手招きして店の裏口へ連れて行くと、「今呼んでくるから」とその場を後にした。とうとう再会か、と考えるたびに口から心臓が出そうなほど心拍が早くなる。

「あっ、店長！裏に珍しいお客さんが来てますよ」

「＿＿＿客だぁ？」

店の中から、腹の底が響くような男の声が聞こえる。地響きのような足音を立て、肉包丁片手に中から現れたのは＿＿＿＿タッパのある巨漢だった。

「ど、どうも……」

「お久しぶり……です…」

『し、シグさん…』

シグさんからの圧が凄い。私とエドは、愛想笑いを浮かべて仔羊のようにガクガクと震えた。