【鋼の錬金術師】三兄弟の錬金術師 Ⅱ (ページ10)

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「よし！A、アル、これ持って中央図書館に戻ろう！」

『あそこならいろいろ辞書が揃ってるしね』

「結構量あるなぁ」

エドは書類を脇に抱えると、何かを思い出したように懐を探り銀時計と手帳を取り出した。
何かをサラサラと手帳に記入し、銀時計と一緒に手帳の一部を少尉に手渡す。

「ロス少尉！これオレの登録コードと著名と身分証明の銀時計！大総統府の国家錬金術師機関に行ってオレの年間研究費から、そこに書いてある金額引き出してシェスカに渡してあげて」

『シェスカさん本当にありがとうございました！』

3人でお礼を言ってシェスカさんの家を出る。
少しした後、家の中からシェスカさんと少尉の叫び声が聞こえたが、おそらくエドが渡した謝礼金の金額に驚いているのだろう。

そんなことを頭の片隅で考えながら私は軍曹が運転する車に乗り込んだ。

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中央図書館の個室で書類の解読を初めてから1週間がたった頃＿＿＿＿

私達は死体のように机へ突っ伏していた。

「なんなんだこのクソ難解な暗号は……」

『もうマルコーさんに直接聞いた方が…』

「いや！これは“これしきのものが解けない者に賢者の石の真実を知る資格無し”というマルコーさんの挑戦とみた！なんとしても自力で解く！！」

頑固者の兄の様子を見ながら私は苦笑いを零した。
そんな大それた事を言いつつもやはり暗号は難解なようで、エドはしくしくと頭を捻っている。

数分再び頭を悩ませていると、ガチャ、と個室の扉が開く音が聞こえた。
ふと顔を上げると、扉の方向には頭を下げているシェスカさんの姿があった。

「御三方がここにいらっしゃると聞いたもので…エドワードさんのおかげで母を立派な病院に移すことが出来ました！本当になんてお礼を言って良いのか…」

「ああ、いいっていいって」

「それにしてもあんなに沢山いただいてよかったのかしら」

申し訳ない様子で顎に手を当てるシェスカさん。
そんな彼女の様子にエドは机に顎を着きながらゆらゆらと手を振った。

「気にしないでいいよ。この資料の価値を考えたらあれでも安いくらいだし」

「そうなんですか…で、解読の方は進みましたか？」

ズシン、と空気が突如として重くなった。

その空気を読んだのか、シェスカさんは失言だったか、と口に手を当てている。

『あー…えぇっと、シェスカさんは仕事見つかりました？』

……

次はシェスカさんが項垂れてしまった。