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「あらパニーニャ。今日はお友達を連れて来たの？」
そんなウィンリィ達の様子を外壁にもたれながら傍観していると、ちょうどすぐ隣にある窓から華奢な女性が顔を出す。
その女性は、ぎょっとしている私に気が付くと「こんにちはお嬢さん」と愛想良く挨拶してくれた。
「ちょうど良かった。今お茶しようと思ってたのよ」
「みんな一緒にどうだ？」
―――あ、この人…妊婦さんだ。
大きいお腹を抱え外へ出てきた女性は、ニコニコと明るい笑顔で男性の隣に立った。
おそらく夫婦の2人。仲睦まじい男性は、女性の肩に手を添えると自己紹介をし始める。
「オレはリドル。リドル・レコルト。こっちは妻のサテラ」
薄々勘づいてはいたが、やはりこの愛想の良い男性はドミニクさんでは無かったのか。じゃあドミニクさん本人はどこに…？
そんな私の様子に気が付いたのか、リドルさんはおもむろに隣接していた別の工房へと指を差す。
「あそこの工房の中では俺の親父が今作業してるよ。きっとみんな親父に用があるんだろう？」
それを聞いたウィンリィは、即座にパニーニャと共に工房へと向かった。飛び込むように工房へ入った2人は、しばらくすると怪訝そうな表情をしている強面の老人を連れて工房から姿を現す。
3人は近くに設置されていたテーブルと椅子へ腰掛けると、話題についていけないパニーニャを取り残し、機械鎧について熱く語り合い始めた。
『こりゃしばらくかかりそうだね、アル』
………………………あれ、返事が返って来ない。
見れば、アルとエドは別の事に興味津々で私の事は視界に入っていないようだ。気になって2人の方へ近付くと、2人はサテラさんの大きなお腹を見て感嘆している最中だった。
「この中に子供が入ってるんだ！」
「うわ〜感動〜〜！」
「あと半月程で生まれるんだよ」
「さすがに重くてしんどいわねぇ」
「触ってみてもいいかな？！」
「ふふ、どうぞ」
そんなやり取りをして、エドやアルはとても楽しそうだ。エドはサテラさんの了承を得て、そっとお腹に手のひらを添える。緊張していたのか、エドの少しばかり強ばっていた身体から、触った瞬間力が抜けていくのが見て取れた。
「お〜〜〜すげ〜〜〜〜！なんかよくわかんないけどすげ〜〜〜」
「あははっ」
「妊婦さんのお腹に触るの初めてだ」
「“元気に生まれて来てね”って願いながら触ってあげてね」
サテラさんはそう言うと、エドとアルの後ろで傍観していた私と目が合いニッコリと笑った。
「あなたも触ってみる？」
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
