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「うげ、入口もがっちり閉鎖かよ」
無事、研究所の敷地内に侵入し入口へ向かった私達だったが、案の定入口は木の板や有刺鉄線でガッチリと固定されていた。
他に裏口などが無いかと研究所の外をうろうろとしていると、ふとエドがある場所を見上げる。エドの視線を追った先には、小さな空気口があった。
エドはおもむろに空気口のフィルターを外し中を覗く。
「…奥まで続いてそうだな。A、アル、ここで待ってろ」
「ええ？1人で大丈夫？」
『私は着いていくけどね』
「はあ？お前アルを1人にする気か？」
『アルは優秀な私の双子の弟だから平気だよ。むしろ兄さんを1人にした時の方が死亡率高くなるし』
な？と、ジトッと睨んでみせると、エドはぐうの音も出ない様子だった。一方何故かアルは少し嬉しそうな様子だ。
「そもそもこのちっせぇ空気口通れんのかよ？」
『大丈夫、兄さんよりちょっと身長高いだけで余裕で行ける』
「あ"？」
「まあまあ、2人ともヒートアップしてきてるから一旦落ち着いて。ボクはここで待ってるから早く行っておいでよ」
危うくこんな場所で喧嘩になりそうだったところを見かねたアルに宥められる。私とエドが可愛い弟の訴えを聞き入れないはずもなく、とりあえずここで停戦する事となった。
アルに肩を貸してもらい、私とエドは空気口の中へ身を捩る。中は煤と蜘蛛の巣だらけで如何にも不潔、という感じだ。まあ今更気にしたりしないが。
「…しっかし…思ったよりせまいなちくしょー」
『…もう少し身長高かったら途中でつっかえてたかも』
「だな、身体小さくて良かっ…」
――おお、珍しく自分で地雷抉ったな。
エドは自己嫌悪に苛まれている最中なのか、頭を抱えてジタバタと身体を暴れさせている。
苦笑してエドの発作が治まるのを待っていると、ふとエドの先にあるものに目が着いた。あれは―――通気口のフィルター？
『兄さん兄さん、あれ見て』
「あ？―――あれって」
身を捩りながら近付いて見てみると、やはりそれは通気口のフィルターだった。網状になっているフィルターからは、研究所内の廊下が透けて見えている。エドはフィルターを蹴破り、廊下へフィルターを叩きつけた。
廊下へ降りてみると、より鮮明に研究所内の様子を伺えた。ボロボロの壁際には足下が見える態度に照明がついている。
「何が“現在使われておりません”だ。ビンゴだぜ」
***
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
