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「オイルの臭い、きしむ人工筋肉、うなるベアリング…そして人体工学に基づいて設計されたごつくも美しいフォルム……ああっ、なんてすばらしいのかしら機械鎧！！」
「機械オタクめ」
「うるさい錬金術オタク」
微調整が終わったのか、2人の喧嘩を他所に作業していたピナコばっちゃんはエドの膝をパシッと叩き「完成！」と行って立たせた。
エドは壁に踵を付けながら機械鎧のアキレス腱部分を伸ばしている。そんなエドにウィンリィは今回の機械鎧の注意事項などを説明し始めたが、気が短いエドが大人しく聞いているはずもなく私の手を掴むと、
「アルんとこ行ってさっさと直そうぜ」
『あっ、ちょ、兄さんちゃんと聞かな「アル〜！おまたせー」
そう言って強引にエドは私を中庭へ連れ出した。家の中からウィンリィの怒声が聞こえたが、私は心の中で謝罪をする事しか出来なかった。
庭へ出てすぐそこにアルと少佐がいるのが見えた。鎧の破片が積まれたシートの上に座りながらこちらに手を振っていたのでつられて私も振り返す。
錬成作業を楽にする為に、私とエドはシートに集めてあった破片達をアルのそばに運んだ。
「鎧の破片これで全部か？」
「うん、憲兵さん達が丁寧に拾ってくれた」
「すぐ直るのか？」
「うん、ちょっとコツがいるけどね」
エドがアルを直しているのを遠目から見ていた最中、隣にいた少佐からとんとんと肩を叩かれた。
「あまり深くは聞かなかったが、弟を直すのはAでは駄目だったのか？」
『あー…そうですね。あくまでアルの魂を定着させたのはエドですから。双子の私でもこればっかりはどうこう出来ないですよ』
「そうか…」
そんな会話を交わしていると、錬成が終わった様子のエドがこちらへ走ってきた。2人で話していた私達に何か言いたげな表情だったが、すぐにその表情は表から無くなりエドは私の袖を引っ張った。
「今から組み手しようと思ってんだけどAもやるか？そんな怪我だし無理強いはしないからさ」
『いんや、参加するよ。傷も多少大体塞がってきたし、痛みもほとんどないからね』
私の言葉に嬉しそうにエドはにっと笑うと、「決まりだな」と言って私の手を引いた。機械鎧を新しく装着したせいなのか、軽やかな足取りで私を連れ出した先にいるのは腕を慣らすアルの姿。
アルはこちらに気が付いた様子で首を傾げた。
「姉さん怪我完治してないのに大丈夫なの？」
『いーのいーの痛くないし！身体訛ってるし早くやろ、アル』
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作者名：はちまき | 作成日時：2022年2月20日 1時
